
米国、ロシア石油大手ルクオイル等に制裁-セルビア、北マケドニアでも事業展開中
10月22日、米財務省(U.S. Department of the Treasury)は、ウクライナでの戦争終結に向けた真剣な和平プロセスへの取り組みがロシアに見られないとして、同国の石油大手ルクオイル(Lukoil OAO)及びロスネフチ(Open Joint Stock Company Rosneft Oil Company)に対し制裁を科したと発表した。同省は、この措置がロシアのエネルギー部門への圧力を高め、戦争遂行のための歳入獲得能力を低下させると説明している。
米財務省プレスリリースによれば、米国のベッセント(Scott Bessent)財務長官は、「プーチン大統領がこの無意味な戦争を終わらせることを拒否しているため、財務省はクレムリンの戦争機械に資金を提供するロシアの二大石油会社に制裁を課す」と述べた。また、今回の制裁はトランプ(Donald Trump)大統領の第2期政権下で初めて発表された対ロシア制裁であり、ベッセント長官はトランプ大統領が「戦争を終わらせる努力」を支援するため必要に応じて追加措置を講じる用意があると付け加えた。
この措置は、財務省外国資産管理室(OFAC)によって明示的に指定されたか否かにかかわらず、ルクオイルまたはロスネフチが直接または間接に50%以上所有する全ての事業体も対象となる。ルクオイルは、セルビアで112カ所のガソリンスタンド、北マケドニアで40カ所のガソリンスタンド及びスティプ(Stip)に石油貯蔵所1カ所を展開している。このほかクロアチアで45カ所、モルドヴァで102カ所のガソリンスタンド及び石油製品貯蔵デポ3カ所を運営するなど、ルクオイルは西バルカン及びその周辺地域で広く事業を展開している。さらに、ブルガリアでは同国唯一の石油精製所であるルクオイル・ネフトヒム・ブルガス(Lukoil Neftohim Burgas)や200カ所以上のガソリンスタンド網を運営するルクオイル・ブルガリア(Lukoil Bulgaria)を、ルーマニアでは320カ所のガソリンスタンド網を有している。
一方、欧州連合(EU)も同調する動きを見せており、欧州委員会のフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は10月23日、EU加盟国が第19弾となる対ロシア制裁パッケージを承認したと発表した。このパッケージには、ロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入禁止、ロシアの「影の船団」118隻の追加制裁、ロスネフチ及びガスプロムネフチ(Gazpromneft)への全面的な取引禁止措置などが含まれると報じられている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)



































































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