
米財務省、ルクオイル海外資産売却に関する交渉許可期限を2026年1月まで延長
12月10日、米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control: OFAC)は、ロシアの石油大手ルクオイル(Public Joint-Stock Company Oil Company Lukoil)の海外事業を統括するルクオイル・インターナショナル(Lukoil International GmbH: LIG)およびその関連事業体の売却交渉等に関する特定の取引を許可する一般ライセンス131Aを発出した。
この新たなライセンスにより、LIGまたはその関連事業体の売却、処分、譲渡に向けた交渉および契約締結に付随する必要不可欠な取引が、2026年1月17日米国東部標準時午前0時1分まで許可されることとなった。ただし、当該契約の履行については、OFACからの別途の承認受領を条件とする「条件付き契約(contingent contracts)」であることが明記されなければならない。また、LIG事業体の運営維持や事業縮小(wind down)に関連する取引についても同様に期限が2026年1月17日まで延長されている。なお、本ライセンスはロシア連邦内に所在する人物や口座への資金移転を許可するものではない。
今回の措置は、2025年11月14日付で発行された一般ライセンス131を完全に置き換えるものであり、従来の期限であった同年12月13日から約1ヶ月の延長となる。
米国財務省は2025年10月、ウクライナ侵攻を続けるロシア政府のエネルギー収入を削減する目的で、ルクオイルおよびロスネフチ(Rosneft)に対する制裁を発表していた。先週にはルクオイルの海外ガソリンスタンドの運営継続を許可する別の適用除外措置も2026年4月29日まで延長されており、米国当局は制裁の実効性を維持しつつも、世界的なエネルギー市場への急激な混乱を避ける姿勢を示している。
西バルカン地域においてルクオイルは極めて広範なプレゼンスを有しており、今回の決定は同地域のエネルギー安全保障にも密接に関連している。報道によれば、ルクオイル・インターナショナルは約50カ国で100以上の子会社を統括し、その資産価値は約220億ドル(188億ユーロ)と試算されている。特に南東欧においては、ブルガリア唯一の製油所であるルクオイル・ネフトヒム・ブルガスやルーマニアのペトロテル製油所を所有するほか、セルビア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、モルドヴァにおいてガソリンスタンド網や石油製品の貯蔵施設を展開している。
現在、これらの海外資産の売却先として、ハンガリーのMOL、米国のエクソンモービル(Exxon Mobil)、シェヴロン(Chevron)、カーライル(Carlyle)など複数の企業が関心を示し競合していると報じられている。今回の期限延長は、これら複雑な資産売却交渉を完了させるための猶予期間として機能すると見られる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)



































































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