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北マケドニア議会、2026年予算案を可決:財務相「安定と発展を示す明確な経済的メッセージ」

12月10日、北マケドニア議会は2026年度の国家予算案を可決した。財務省の発表によると、歳入総額は3749億デナル(MKD)、歳出総額は4142億デナールと計画されており、これに伴う財政赤字額は国内総生産(GDP)比で3.5%に相当する392億デナル(約6億3670万ユーロ)となる見通しである。

本予算案の成立にあたり、ディミトリエスカ=コチョスカ(Гордана Димитриеска-Кочоска)財務大臣は、今回の予算が単なる数値の羅列ではなく、「安定、信頼、そして発展を約束する明確な経済的メッセージである」と強調した。財務省プレスリリースによれば、同大臣は議会における説明の中で、マクロ経済の安定維持と財政健全化、そして経済成長の促進を柱とする戦略を改めて表明しており、特にユーロ債の償還を含む全ての債務履行能力を確保しつつ、財政赤字の縮小と公的債務の安定化を図る姿勢を鮮明にしている。

ディミトリエスカ=コチョスカ財相は、「公的資金の1デナルたりとも無駄にせず、市民と経済に最大の価値をもたらすよう設計されている」と述べ、歳入徴収の効率化や非公式経済(インフォーマル・エコノミー)の正規化、そして公的資金の慎重かつ管理された運用を通じて、国内外の投資家からの信頼強化を目指すとした。

経済のファンダメンタルズに関する見通しについては、財務省は2026年の実質GDP成長率を3.8%、インフレ率を2.5%と予測している。この強気な見通しの背景には、直近の2025年第3四半期において、近年で最も高い水準の一つとなる3.8%の経済成長を記録した実績があり、政府はこの前向きな経済トレンドが継続することを期待している。

具体的な歳出配分については、同相が「生活水準の向上と経済発展」を掲げるとおり、以下の通り重点的な配分がなされている。

  • 資本投資(401億デナル): インフラ整備、エネルギープロジェクト、生活環境改善に充当。
  • 公的部門賃金(526億デナル): 公共サービスの維持・強化。
  • 経常移転・補助金(2719億デナル): 地方自治体や企業への支援等。
  • 年金支払い(1168億デナル): 高齢者層への適時支払い保証。
  • 医療分野(538億デナル): 国民の健康維持。
  • 社会的保護(120億デナル): 脆弱な層への支援。
  • 雇用対策(26億デナル): 積極的な雇用措置と政策。

なお、財務省のデータによれば、2025年1月から10月までの10か月間における財政赤字は265億デナルとなり、前年同期の240億デナルと比較して赤字幅が拡大していた。今回の2026年予算は、こうした財政状況下において、規律ある財政運営と「市民のためのより良い生活水準」という目標の両立を目指す、政府の強い意志を反映したものとなっている。

(1EUR=61.57MKD)

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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