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NIS、米国による制裁猶予の延長を申請:ロシア資本離脱とハンガリーMOL等への売却交渉が継続

3月12日、セルビア石油産業(Naftna Industrija Srbije:NIS)は、現在適用されている米国財務省による制裁猶予措置が3月20日に期限を迎えることを受け、同措置の更なる延長を求める特別許可を申請したことを明らかにした。NISは今回の申請において、不安定な世界情勢と国際原油市場の状況を鑑み、セルビア経済にとって同社の正常な操業維持が極めて重要であることを強調するとともに、現在進められている所有構造の変更に関する交渉が前進していることを指摘している。

米国財務省の外国資産管理局(OFAC: Office of Foreign Assets Control)は、ロシア資本傘下にあるNISに対し、ロシアによる影響力を排除する目的で2025年1月に制裁を発表した。制裁の発動は数回にわたって猶予された後、同年10月に発効したが、OFACは12月31日に暫定的な営業許可を付与し、その後も1月23日、2月20日、そして今回の3月20日へと期限を段階的に延長してきた。OFACはNISの株主構成からロシア資本が完全に撤退することを求めており、所有権譲渡に関する交渉の完了期限を3月24日に設定している。

現在、NISの株式はロシアのエネルギー大手ガスプロム(Gazprom)傘下のガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が44.85%、セルビア政府が29.87%、サンクトペテルブルクに拠点を置き実質的にガスプロムの支配下にあるインテリジェンス(Intelligence)社が11.3%を保有している。これに対し、ハンガリーの石油・ガス大手MOL(Magyar Olaj- és Gázipari Nyrt.)は本年1月、ガスプロム・ネフチが保有する計56.15%の株式を取得することで法的拘束力のある基本合意(Heads of Agreement)を締結した。MOLは、アラブ首長国連邦のアブダビ国立石油公社(ADNOC: Abu Dhabi National Oil Company)を少数株主として招き入れる方向で協議を進めており、MOLが過半数の株式と経営権を保持する見通しである。また、セルビア政府もMOLとの間で、国家の持ち分を5%買い増すことを可能にする覚書を締結している。

米国による制裁の影響で、NISは昨年12月に原油不足から同国唯一の精製施設である北部パンチェヴォ(Pančevo)精製所の操業停止を余儀なくされた。その後、1月に原油輸入と生産を再開したものの、精製量および販売量の減少により、2025年度の通期決算は56億ディナールの純損失を計上し、前年度(2024年度)の101億ディナールの純利益から赤字に転落した。NISはセルビア国内に331拠点の給油所を構えるほか、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、ルーマニアでも事業を展開し、1万3,500人以上の従業員を抱える地域経済の要衝となっている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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