
モンテネグロが新たに5つの政策分野についてEU加盟交渉を暫定的に完了-2028年の加盟実現に向け大きな進展
12月16日、欧州連合(European Union)はブリュッセルで開催されたモンテネグロとの第24回政府間会議(Intergovernmental Conference)において、モンテネグロとのEU加盟交渉のうち、新たに5つの政策分野(チャプター)についての交渉を暫定的に完了した。今回交渉完了が合意されたのは、チャプター3「事業設立の権利およびサービスの提供の自由」、チャプター4「資本の自由移動」、チャプター6「会社法」、チャプター11「農業・農村開発」、チャプター13「漁業」の5分野である。これにより、モンテネグロが交渉中の全33のチャプターのうち、暫定的に交渉完了したものは計12に達した。
モンテネグロ政府プレスリリース、EU理事会プレスリリース及び欧州対外行動庁(EEAS)プレスリリースによれば、政府間会議の議長を務めたEU議長国デンマークのビェール(Marie Bjerre)欧州問題大臣は、モンテネグロのEU加盟交渉における進展を歓迎し、今回の決定がモンテネグロの欧州統合に向けた道のりにおける重要な一歩であると評価した。
また、欧州委員会のコス(Marta Kos)欧州委員(拡大担当)は、モンテネグロが西バルカンへのEU拡大プロセスにおいて最も優れた成果を上げている「フロントランナー」であることを改めて強調した。一方でコス委員は、モンテネグロが掲げる2026年末までの交渉完了という目標の達成には、司法の独立性確保や汚職・組織犯罪対策といった法の支配に関する改革をさらに加速させる必要があると改めて強調した。
モンテネグロのスパイッチ(Milojko Spajić)首相は会議後の演説で、2025年中に前年の2倍のチャプターを交渉完了するという公約を果たしたことを強調した。スパイッチ首相は、モンテネグロが加盟交渉の初日からEUの共通外交・安全保障政策(CFSP)に完全に準拠していることや、単一ユーロ決済圏(SEPA)への早期統合といった実績を挙げ、同国がすでに「近い将来の加盟国」として思考し行動していると自負を示した。特にチャプター4に関しては、過去2年間にわたり金融の整合性やマネーロンダリング防止策の強化に注力し、開放性と安全性の両立を証明してきたと述べた。
モンテネグロ政府は、2026年末までに全ての交渉項目を閉鎖し、2028年にEUの28番目の加盟国として正式に加わることを戦略的目標に据えている。今回の5章の閉鎖は、フランスが農業や漁業分野の閉鎖に対して一時的に示していた慎重な姿勢をスパイッチらによる外交努力で解消した結果でもあり、国内制度の近代化と市民生活への直接的な利益をもたらす改革が進展していることを示す象徴的な出来事となった。今後は、加盟交渉の核心である法の支配に関連するチャプターの進捗が、2028年の加盟実現に向けた最大の焦点となる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)


































































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