アルバニアが5月11日に議会総選挙を実施:ディアスポラも初めて投票可能に
12月5日、アルバニアのベガイ(Bajram Begaj)大統領は、任期満了に伴うアルバニア議会(定数140議席)総選挙の投開票を2025年5月11日に実施する決定を下したと発表した。
今回の選挙では、アルバニア憲政史上初めて、海外在住のアルバニア国民(ディアスポラ)も投票が可能となる。2023年時点でのアルバニアの国内在住者人口は約276万人であるが、これに対し海外在住者は約120万人となっており、これはアルバニア国民の約30%、国内居住者数の44%に相当する。海外在住者を含めた有権者数は約360万人と見られており、海外在住者票は選挙結果を大きく左右する要素となる。海外在住者の投票は、電子投票もしくは郵便投票によって行われる。
任期満了に伴う今回の選挙は4月15日から5月15日の期間に投票を実施する必要があったが、アルバニア中央選挙管理委員会は、海外在住者投票を円滑に実施するため、法的・組織的なインフラ整備に十分な準備期間が必要との見解を予てより表明していた。ベガイ大統領も、在外投票の実現が今回の選挙における最大の課題であると強調している。
大統領府発表によれば、民主党(PD)をはじめとする野党勢力は当初、5月8日・9日にアルバニアがホスト国となって首都ティラナでの開催が予定されている第6回欧州政治共同体(EPC)サミットが与党側に有利な影響を与える可能性を懸念していた。これを受けてベガイ大統領は関係機関と協議を行い、EPCサミットを議会選挙後に延期することで合意に至ったと述べている。
現与党の社会党(PS)は、2013年の総選挙に勝利してPDからの政権交代を果たして以来、現在のラマ(Edi Rama)首相の下で3期10年以上に及ぶ長期政権を維持しており、この間には2017年及び2021年の総選挙で勝利を収めてきている。
今回の選挙でPSはアルバニア史上初となる4期連続の政権獲得を目指すことになる。一方、PD党首のベリシャ(Sali Berisha)元首相は汚職容疑で先月末まで1年近く自宅軟禁措置を受けており、汚職に関する刑事裁判が進行中となっているが、この措置に抗議する野党支持者と警察との衝突がしばしば発生していた。今回の選挙においても、現与党の汚職対策とそれに対する評価が争点の一つになると見られている。なお、米国財務省は、権力濫用と公金不正流用への関与を理由に、2021年よりベリシャ党首に対し米国への入国禁止措置を課している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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