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トランプ米大統領提唱の「平和委員会」にコソヴォがいち早く参加しアルバニアも追随へ:セルビアは欧州分断を懸念

1月22日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)において、アメリカのトランプ(Donald Trump)大統領が主導する新たな国際機関「平和評議会(Board of Peace)」の設立憲章署名式が行われた。この新組織への対応を巡り、西バルカン6カ国ではコソヴォがいち早く署名を行い、アルバニアも加盟に向けた手続きを進める一方、セルビアは慎重かつ懐疑的な姿勢を示しており、外交方針の違いによる地域内の温度差が鮮明となっている。

コソヴォからはオスマニ(Vjosa Osmani)大統領が出席し、トランプ大統領らと共に憲章に署名を行った。オスマニ大統領は署名直後に自身のSNSにてトランプ大統領との写真を公開し、「アメリカが主導する限り、平和はより強固になる。コソヴォはアメリカと肩を並べて立つ」と表明した上で、対米同盟こそが唯一の道であると強調した。コソヴォにとってアメリカは国家形成における最大の支援国であり、新組織への即座の参加は、同国の安全保障における対米依存の強さと忠誠心を改めて示すものとなった。

隣国のアルバニアもまた、アメリカのイニシアチブに追随する動きを見せている。同国の議会は同日、ラマ(Edi Rama)首相に対して憲章への署名を承認する権限を与えたとしており、近日中に正式に加盟する見通しである。コソヴォと同様に親米的な外交路線を堅持するアルバニアは、地域内での安定と平和促進を掲げる同委員会の趣旨に賛同する姿勢を明確にしている。

一方、同じくダボス会議に出席していたセルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、この構想に対して慎重な見方を示した。ヴチッチ大統領はセルビアの記者団に対し、トランプ大統領の「平和委員会」構想が欧州をさらに分断させていると指摘した上で、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアといった欧州の主要国や中国が参加していない現状に言及し、事態は単純ではないとの認識を示した。ヴチッチ大統領は、同委員会が国連に代わる並行機関として機能することへの疑問を呈しつつ、当面は組織の任務や動向を静観する構えを示した。なお、ヴチッチ大統領は現地でハンガリーのオルバーン首相とも会談し、地政学的な重要課題について共通の立場を取ることを確認しており、西側諸国とは一線を画す独自の外交バランスを維持しようとしている。

出典:RTS Sajt – Zvanični kanal

トランプ大統領が当初ガザ地区の復興統治メカニズムとして提案し、後に世界規模の紛争解決機関へと適用範囲が拡大されたこの「平和委員会」だが、加盟国には将来的に巨額の分担金が求められる可能性や、国連憲章に基づく国際秩序を損なう懸念も指摘されている。西バルカン地域の他の3カ国(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、北マケドニア)については、招待の有無や具体的な対応方針は現時点で報じられていないが、地域内での対応の分極化は、今後の西バルカン情勢に新たな火種をもたらす可能性がある。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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