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米財務省、ロシア国外におけるルクオイルのガソリンスタンド事業に関連する取引許可を2026年4月まで延長

12月4日、米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control: OFAC)は、ロシアの石油大手ルクオイル(Lukoil)に関連する特定の取引を許可する一般ライセンス「GL 128B」を発行した。この新たなライセンスにより、オーストリアに拠点を置くルクオイル・インターナショナル(Lukoil International GmbH: LIG)または同社が50パーセント以上の権益を保有する事業体が関与する取引のうち、ロシア連邦国外に位置するガソリンスタンド(物理的な小売サービスステーション)の維持、運営、または事業縮小(ウィンドダウン)に必要不可欠なものが、2026年4月29日午前0時1分(米国東部夏時間)まで許可されることとなった。OFACがウェブサイト上で公表したQ&Aによれば、これは、2025年11月14日付で発行されていた以前のライセンス(GL 128A)を全面的に置き換え、期限を延長する措置だとされている。

今回の決定は、ウクライナ侵攻を続けるロシアのエネルギー収入削減を狙い、米国が2025年10月にルクオイルやロスネフチ(Rosneft)への制裁強化を発表したことに端を発している。

制裁による市場への混乱や一般消費者への悪影響を緩和するため、OFACはこれまでも期間限定で特定の取引を認めてきた。GL 128Bでは、認可された取引に関連してLIG事業体の凍結口座を使用することが認められている一方で、ロシア連邦内に所在する人物や口座への資金移動は明確に禁止されている。また、ロシア中央銀行(Central Bank of the Russian Federation)などが関与する取引についても、別途認可がない限り引き続き禁止対象となる 。

西バルカン地域においてルクオイルは広範な小売ネットワークを有しており、今回の期限延長は地域経済の安定にとって重要な意味を持つ。報道によれば、ルクオイルはセルビア国内に112か所、北マケドニアに40か所、モンテネグロに10か所、クロアチアに45か所のガソリンスタンドを運営しているほか、近隣のブルガリアには220か所以上、ルーマニアには320か以上の拠点を展開している。

制裁圧力が高まる中、ルクオイルは国際事業の売却を計画しており、ハンガリーのMOL、米国のエクソンモービル(Exxon Mobil)、シェブロン(Chevron)などが資産の買い手候補として取り沙汰されている。今回のOFACによる措置は、こうした事業譲渡に向けた交渉や手続きに必要な時間を確保しつつ、地域のエネルギー供給網への即時的な打撃を回避する狙いがあるとみられる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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