欧州委員会がコソヴォのEU加盟プロセス進捗報告書を公表:セルビアとの関係正常化に向けた建設的取り組みを要求

10月30日、欧州委員会は、コソヴォのEU加盟プロセスに関する2024年版の進捗報告書を公表した。

報告書において欧州委員会は、コソヴォに対し、セルビアとの関係正常化に向けたより強いコミットメントを示し、地域の安定を損なう行動や和解を妨げる行為を避けるよう求めた。

欧州委員会は、特にセルビア系住民が多数を占めるコソヴォ北部では緊張が続いており、その原因として、警察を動員したセルビア系行政機関の強制的な閉鎖、コソヴォ域内でのセルビアの通貨ディナールでの取引規制、セルビア系金融機関の強制的な閉鎖といった、コソヴォ当局による一方的措置の問題を挙げている。

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欧州委員会はコソヴォの内政上の課題として、「議会は内部対立や野党のボイコットにより機能が制限されており、政党間での合意形成の強化が必要とされている。行政においては有能な人材の確保・維持が課題となっており、また、公的財政管理の法制度を国際基準に合わせる必要がある」と指摘した。また、司法制度改革について、「EU基準に沿った司法制度の整備は未だ初期段階にあり、司法行政能力の向上と効果的な汚職対策法制の実施が求められている」と述べている。

コソヴォの経済面の状況について、欧州委員会は、「安定した経済成長と歳入実績の改善により、市場経済の機能化で進展が見られる。しかし、税基盤の狭さや公共投資管理の不備など、依然として課題が残されている」と指摘した。

コソヴォは2022年12月にEU加盟申請を正式に提出し、現在はEU理事会によるEU加盟候補国の地位付与を待っている状態にある。理事会での決定にはEU加盟国の全会一致が必要とされるが、27カ国のEU加盟国のうち、スペイン、ギリシャ、スロヴァキア、キプロス、ルーマニアの5カ国は現在もコソヴォ独立を承認していない。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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