コソボ北部でセルビア人住民とKFORが衝突し負傷者が発生
5月29日、セルビア人が多数派を占めるコソボ北部のズベチャン(Zvečan/Zveçan)において、コソボ政府がアルバニア人市長の市庁舎立ち入りを強行したことに抗議するセルビア住民と、市庁舎を警護していた北大西洋条約機構(NATO)主導の平和維持部隊であるコソボ国際安全保障部隊(KFOR)が衝突し、双方に負傷者が発生した。
コソボ北部では、新たに就任したアルバニア人市長が26日に市庁舎への立ち入りを強行したことを契機に、セルビア人住民とコソボ警察との間で緊張が高まり、このうちズベチャンでは負傷者を伴う衝突に発展していた。
26日の衝突発生を受けてKFORはコソボ北部での展開を強化し、コソボ警察及びEU法の支配ミッション(EULEX)とともに市庁舎の警護にあたっていたが、アルバニア人市長の就任に反対するセルビア人住民は市庁舎周辺での抗議活動を継続していた。
KFOR側は抗議活動参加者を解散させるために催涙ガスや閃光手榴弾を使用する一方、抗議参加者は発煙筒や爆発物を投げ込んだほか、KFORの発表によれば抗議参加者側からの発砲もあったとされている。
KFORは、この衝突によって30名のKFOR要員(ハンガリー人19名、イタリア人11名)が負傷したと発表した。一方、セルビアのブチッチ(Aleksandar Vuic)大統領は、50名以上のセルビア人住民が負傷しその中にはズベチャン前市長も含まれていると述べた。
ブチッチ大統領は、セルビア軍に対しコソボとの境界線付近に展開するとともに、高度即応体制を維持するよう指示したと発表した。
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