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米国財務省、NISへの原油輸送継続を認可:ロシア資本撤退を視野に入れた移行措置

2月21日、クロアチアの石油輸送受託大手ヤナフ(Jadranski Naftovod d.d.)は、セルビア石油産業(Naftna industrija Srbije a.d.:NIS)への原油輸送を継続するためのライセンスを米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)から取得したと発表した。

JANAFの発表した取締役会声明によると、この認可は2026年3月20日まで有効であり、ヤナフとNISの間で締結されている2024年1月1日から2026年12月31日までの期間における1,000万トンの原油輸送契約の履行を継続的に可能にするものである。ヤナフのアダニッチ(Stjepan Adanić)取締役会議長ら経営陣は、今回の決定について、同社の責任ある事業運営が米国および欧州連合(EU)の戦略的目標と一致していることが確認されたものであると述べた。

NIS側も、2月20日の深夜に同様の特別ライセンスをOFACから取得したことを明らかにした。NISのプレスリリースによれば、この新たなライセンスにより、NISは原油の輸入や製油所での加工、エネルギー供給の安全性確保や技術維持に必要な取引、および金融決済を含む事業活動の継続が認められることとなった。

NISは、ロシアのエネルギー大手ガスプロム(Gazprom)傘下のガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が44.85%、同じくガスプロムが間接的に支配するサンクトペテルブルク拠点のインテリジェンス(Intelligence)が11.3%の株式を保有している。このロシア資本背景を理由に、同社は2025年1月に米国から制裁対象に指定され、数回の猶予を経て同年10月に制限が発動されていたが、今回のライセンス取得により当面の致命的な事態は回避された形となる。

OFACは、NISの株主構成からロシア資本が完全に撤退することを求めており、資本変更交渉の完了期限を2026年3月24日に設定している。これに関連し、ハンガリーの石油・ガス大手MOL(MOL Magyar Olaj- és Gázipari Nyrt.)は今年1月、ガスプロム・ネフチが保有する56.15%の株式を取得することで拘束力のある基本合意に至ったと発表した。この再編計画では、MOLが過半数の株式と支配権を維持する一方で、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国立石油公社(Abu Dhabi National Oil Company:ADNOC)が少数株主として参画する方向で協議が進められている。また、セルビア政府もMOLとの間で覚書を締結しており、現在29.87%である国家保有比率をさらに5%引き上げる方針である。

セルビアのヂェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー大臣は先週、MOLによるNISの資産査定(デューデリジェンス)が2月末までに完了する見通しであり、これにより3月中のガスプロム・ネフチとの正式な売買契約締結に向けた道筋が整うと述べている。

NISはセルビア国内に331か所の給油所を擁するほか、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、ルーマニアでも事業を展開し、1万3,500人以上の従業員を抱える地域最大のエネルギー企業である。今回の米当局による一時的な措置は、同社の事業継続を支えることでバルカン地域全体のエネルギー市場の混乱を回避しつつ、ロシア資本の排除という戦略的目標を完遂するための最終的な調整期間と位置づけられる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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