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西バルカン諸国の輸送業者、シェンゲン圏の滞在規制厳格化に抗議しEU国境を封鎖

1月26日、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、モンテネグロの輸送業者団体は、シェンゲン(Schengen)圏内での滞在を「180日間で最大90日間」に制限する欧州連合(EU)の規則に抗議し、EU加盟国との国境における貨物ターミナルの封鎖を開始した。

この抗議活動は、2025年10月から段階的に導入され、2026年4月10日に完全運用が予定されている新たなデジタル出入国管理システムである「エントリー・イグジット・システム(Entry/Exit System:EES)」によって、従来の滞在制限ルールが厳格に適用されることへの危機感から引き起こされたものである。

出典:Euronews Serbia

西バルカンの運送業界にとって、この「90/180日ルール」は、運送業者等プロのドライバーがシェンゲン圏29カ国内で稼働できる時間を実質的に月間約15日間に制限することを意味する。セルビア国際道路運送業者協会(Poslovno udruženje međunarodni transport)のマンディッチ(Neđo Mandić)会長は、入国日と出国日がそれぞれ1日としてカウントされる現在の仕組みでは、頻繁に国境を越えるドライバーの労働可能日数が急速に消費され、経済的に持続不可能な状況に追い込まれると警告している。セルビア国内ではバトロヴツィ(Batrovci)を含む15カ所の国境検問所が対象となっており、26日正午に輸出ターミナルの封鎖が始まり、同日深夜からは輸入側にも拡大された。モンテネグロではバール(Bar)港のターミナルも封鎖されている。

輸送業者側の主張は、プロのドライバーを観光客や不法移民と同等に扱うのではなく、欧州経済を支える重要な労働力として区別すべきであるという点に集約される。彼らは、ドライバーに対して「国境を越える労働者」としての地位を認めるか、シェンゲン圏全域をカバーする特別なヴィザや許可証を導入することを求めている。マンディッチ氏によれば、すでに多くのドライバーが滞在超過を理由にEU当局から拘束や強制退去の処分を受けており、これが深刻なドライバー不足に拍車をかけ、地域経済のみならず欧州全体のサプライチェーンに対する脅威となっている。

これに対し欧州委員会(European Commission)の報道官は、シェンゲン圏の規則は明確であり変更はないとの立場を維持しつつも、西バルカン諸国のパートナーと接触し状況を注視していると述べるにとどまっている。セルビア商工会議所(PKS:Privredna komora Srbije)は、欧州商工会議所連合(Eurochambers:ユーロチェンバー)とも連携し、EU当局や加盟国政府に対して、恒久的な解決策が見つかるまでの暫定的な免除措置を求める書簡を送付した。

抗議団体側は、医薬品や生体動物、火薬類などの緊急性の高い物資については通行を認めるとしているが、EU側が正式な協議に応じる保証が得られない限り、封鎖は少なくとも1週間にわたって継続される見通しである。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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