【報道】MANが人権侵害疑惑でリンロン・セルビア工場からのタイヤ調達を停止

ドイツ国内報道によれば、ドイツの商用車メーカーMAN Truck & Busは、人権侵害疑惑を理由に、中国タイヤメーカー・リンロンのセルビア工場からのタイヤ発注を停止した

ドイツ経済誌「Manaeger」がMANの広報担当者の話として報じたところによると、MANは、リンロンのセルビア工場における労務問題及び人権侵害の疑いから、11月末に同工場に対する全ての発注を停止したという

一方、MANの親会社であるフォルクスワーゲングループは、リンロンに対する疑惑について「事実関係の確認を進めている」と述べている。

セルビアの人権NGO「ASTRA」は2022年、リンロンのズレニャニン工場における人権侵害疑惑について、フォルクスワーゲンの内部通報制度に基づく報告を提出している。また、ズレニャニン工場の建設工事開始以降、セルビア国内メディア及び国内NGOは、同工場における労働者の搾取疑惑を批判し続けてきた。2

2021年には欧州議会が、工場建設現場で勤務するベトナム人約500人に対する人権侵害と人身売買の疑いについて調査するよう、セルビア政府に求める決議を採択している。

一方、2023年1月にドイツで施行されたサプライチェーン・デューデリジェンス法(LkSG)により、ドイツ国内企業には、サプライチェーンにおける人権や環境分野に関するデューデリジェンスが義務づけられている。

リンロンは今年9月、10億ユーロを投じたて建設したズレニャニン工場での本格的なタイヤ量産を開始した。同工場は2019年に着工され、フル稼働時には年間約1,400万本のタイヤを生産する計画となっている。

リンロン社のウェブサイトによると、同社にとって欧州唯一の生産拠点となるズレニャニン工場は、日産、VW、アウディ、フォード、ステランティス、現代自動車、起亜、MANからの認証を取得している。

(アイキャッチ画像はリンロン・ズレニャニン工場、出典:リンロン社ウェブサイト)

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