
セルビア大統領、中国製極超音速ミサイルの保有を事実上認める
3月12日、セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、公共放送RTSの番組に出演し、セルビア空軍が中国製の空中発射型ミサイルを保有していることを事実上認める発言を行った。今週に入り、ソーシャルメディアや防衛関連情報サイトにおいて、セルビア軍のロシア製MiG-29戦闘機に中国製の「CM-400AKG」ミサイルが搭載されている画像が拡散しており、これを受けた対応とみられる。ヴチッチ大統領は詳細な仕様の公表を避けつつも、「われわれは公表していないものも保有している」と述べ、当該ミサイルを相当数保有し、今後さらに増やす方針を明らかにした。また、その兵器について「極めて高価だが、極めて効果的だ」と高く評価している。
セルビアが導入したとされるCM-400AKGについて、韓国発の軍事専門メディア「Military Watch Magazine」は、「SY400」ロケットをベースに開発された空対地ミサイルであり、重量は約910キログラム、射程は240キロメートルから400キロメートルだとしている。同報道によれば、このミサイルはマッハ6を超える速度での飛翔が可能であり、慣性航法と衛星航法、さらにパッシブ・レーダー誘導を組み合わせているほか、赤外線またはテレビジョン・シーカーの搭載も可能であるとされている。一連の報道が事実だとすれば、セルビアは2025年5月に同ミサイルをインド軍への攻撃に使用したとされるパキスタンに次いで、世界で2番目の海外運用国となる。
一方、一部の一般報道では、同ミサイルを中国の対艦巡航ミサイル「YJ-12」の輸出モデルであると推測しており、超音速に近い速度で飛行すると報じるなど、ミサイルの種別に関する見解に多少のばらつきが見られる。セルビアが旧ユーゴスラヴィア時代から引き継ぎ、また2000年代以降にロシアやベラルーシから供与されたMiG-29戦闘機は、搭載レーダーが数世代前のものであり、空対空戦闘能力には重大な限界を抱えていた。しかし、CM-400AKGは機体外部のセンサーから提供される目標データを使用して発射されるため、戦闘機自体のレーダーの旧式化はミサイルの性能に影響を与えない。そのため、今回のミサイル統合はMiG-29の欠点を補い、全体の戦闘能力を飛躍的に向上させる画期的な措置であると評価されている。
これまで、セルビア国防省は2024年4月にフランス製の戦闘機「ラファール(Rafale)」の調達契約を締結しており、旧式のMiG-29は退役に向かうとの観測もあった。しかし、欧州連合(European Union)への統合を目指すセルビアに対し、西側諸国はロシアからの長距離防空システムの調達を制限する圧力をかけており、導入予定のラファールも主要な空対空ミサイル「ミーティア(Meteor)」の運用能力が除外されるなど性能が大きく制限されたものになると見られている。このような背景から、セルビアが過去に導入した防空システム「HQ-22」と同様に、欧州からの反発が相対的に少ない中国製兵器の導入を進め、短い滑走路からでも運用可能なMiG-29を延命させることで、有事における非対称的な軍事力と抑止力を確保する意図があると分析されている。
一方で、1990年代のユーゴスラヴィア紛争の記憶が残る近隣諸国は警戒を強めている。クロアチアのプレンコヴィッチ(Andrej Plenković)首相は、「セルビア軍の兵器庫に新たに加わった能力についてNATOに警告を発する」と表明した。これに対しヴチッチ大統領は、NATOとの良好な関係を維持するためにあらゆる努力を尽くすとした上で、今回のミサイル配備は「すべては祖国を守るためだ」と強調し、あくまで自衛目的であることを強調している。
(アイキャッチ画像出典:Saymon bg via Wikimedia commons, CC0 1.0 Universal)




























































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