
NISのロシア持分売却、MOL等との合意に向け進展:セルビア大統領が明らかに
1月26日、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、セルビア石油産業(Naftna Industrija Srbije:NIS)のロシア側持分売却を巡り、セルビア政府が20億ユーロで過半数株式を取得する用意があったものの、ロシア側がセルビア国家への譲渡を拒否したことを明らかにした。同大統領はセルビア国内放送局「Blic TV」のインタビューに対し、ロシア側の持分は最大10億ユーロと評価されていると述べた。
NISの株式構成は、現在、ロシアのガスプロム・ネフ(Gazprom Neft)が44.85%、ガスプロム(Gazprom)が間接的に管理するサンクトペテルブルクのインテリジェンス(Intelligence)社が11.3%を保有しており、ロシア側が計56.15%の過半数を占めている。セルビア政府の保有比率は29.87%である。
NISは2025年1月、ロシア資本であることから米国財務省の制裁対象リストに追加され、数度の猶予を経て2025年10月に制裁が完全発動した。これにより、セルビア国内唯一のパンチェヴォ(Pančevo)製油所の操業停止など深刻なエネルギー危機に直面したが、米国外国資産管理局(OFAC)はロシア側の完全撤退を条件に交渉期限を2026年3月24日まで延長。12月末には一時的な操業許可も与えられ、現在は2月20日までの期限付きで操業が維持されている。
先週、ハンガリーのエネルギー大手MOL(Magyar Olaj- és Gázipari Nyrt.)は、ガスプロム・ネフとの間でロシア側持分56.15%を取得する拘束力のある基本合意書(Heads of Agreement)を締結したと発表した。MOLはこの取引に関し、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国立石油公社(Abu Dhabi National Oil Company:ADNOC)を少数株主として招き入れる交渉を進めており、MOLが過半数と支配権を維持する方針だと見られている。
また、ジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー相によれば、セルビア政府もMOLとの間で覚書を交わしており、最終的な合意を通じてセルビア側の持分を5%上乗せし、約35%まで引き上げることで決定権を強化する見通しである。
MOLとガスプロム・ネフは、OFACおよびセルビア当局の承認を前提として、2026年3月31日までに最終的な売買契約を締結することを目指している。NISはセルビア国内の燃料供給の8割を担い、約1万4千人の従業員を抱える同国最大のエネルギー企業であり、今回の再編は西バルカン地域全体のエネルギー安全保障における大きな転換点となる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)


























































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