
米財務省、ルクオイル海外資産売却交渉の猶予期間を2月末まで延長
1月14日、米財務省外国資産管理局(OFAC:Office of Foreign Assets Control)は、ロシアの石油大手ルクオイル(Public Joint-Stock Company Oil Company Lukoil)の海外事業を統括するオーストリア拠点の実体、ルクオイル・インターナショナル(Lukoil International GmbH)およびその関連実体(以下、LIG実体)の売却交渉等に関する一般ライセンス131B(General License No. 131B)を発行した。この新たなライセンスは、2025年12月に発行された131Aを全面的に引き継ぎ、資産売却に向けた交渉や条件付契約の締結、および関連する運営維持や撤退(ウィンドダウン)活動を、2026年2月28日米東部標準時午前12時1分まで許可するものである。当初の期限であった1月17日から約6週間の猶予が追加で与えられた形となる。
本ライセンスに基づき、LIG実体の売却、処分、または譲渡に関する交渉や、OFACからの個別認可を条件とする「条件付契約」の締結が認められる。条件付契約には、未履行の契約や覚書、公的入札への応札などが含まれるが、実際の売却完了には別途OFACの承認が必要とされる。また、LIG実体の封鎖勘定については、許可された範囲内での維持・撤退活動のためにのみ使用が認められているが、ロシア連邦内の個人や口座への資金移動、および過去に凍結された資産の一般的な封鎖解除は依然として禁止されている。
ルクオイル・インターナショナルは世界約50カ国で100以上の子会社を管理しており、西バルカン地域を含む東南欧のエネルギーインフラにおいて極めて重要な地位を占めている。同社はブルガリア唯一の製油所であるルクオイル・ネフトヒム・ブルガス(Lukoil Neftohim Burgas)やルーマニアのペトロテル(Petrotel)製油所を保有するほか、セルビア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、モルドヴァにおいて広範なガソリンスタンド網と石油製品デポを展開している。特にブルガリア政府は、2025年11月17日より同国内のルクオイル関連実体を外部管理者による法管財人の統治下に置いており、売却に向けた手続きを急いでいる。
今回の期限延長は、2025年10月にルクオイルとの間で合意に達していたスイスの石油商社ガンヴォール(Gunvor Group Ltd.)への売却が、米財務省の承認を得られず破談になったことを受けた措置である。現在、ルクオイルの海外資産(推計価値220億ドル)に対しては、米投資会社のカーライル(Carlyle)や米エネルギー大手のシェヴロン(Chevron)を中心とした連合、ハンガリーのMOL、アラブ首長国連邦の投資会社などが関心を示していると報じられている。OFACは、売却交渉が誠実に行われていないと判断した場合にはライセンスをいつでも取り消す権利を留保しており、交渉先の実体に対しても厳格な審査を行う姿勢を崩していない。
西バルカン諸国において、ルクオイルのガソリンスタンド網は市民の生活インフラに深く組み込まれており、その安定的な供給体制の維持は地域経済の安定に直結する課題である。米当局は、ロシア国外に位置するルクオイルの小売ガソリンスタンドの営業継続を認める別のライセンス(GL 128B)を2026年4月29日まで有効としているが、根幹となる資産売却交渉が今回の延長期間内に進展するかどうかが、今後の焦点となる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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