
【報道】アルバニア憲法裁判所、汚職疑惑の副首相の職務復帰を暫定的に承認
12月12日、アルバニア憲法裁判所は、汚職容疑により職務停止処分を受けていたバリュク(Belinda Balluku)副首相兼インフラ・エネルギー大臣について、下級裁判所による処分命令の効力を一時的に停止し、職務への即時復帰を認める決定を下した。この決定は、ラマ(Edi Rama)首相による申し立てを受けたものであり、本案に関する最終的な憲法判断が下されるまでの暫定措置となる。
Euronews Albaniaの報道によれば、12日に行われた憲法裁の予備審査において、賛成5、反対3の多数決により決定に至った。これにより、汚職・組織犯罪対策特別裁判所(GJKKO)が11月19日および22日に下したバリュク副首相に対する職務停止命令の執行は凍結される。
憲法裁判所は、本件が高い公共の利益に関わる事案であると認め、今後は公開の本会議にて審理を進める方針を示しており、汚職・組織犯罪対策特別検察(SPAK)、GJKKO、議会、および大統領府を利害関係者として召喚する予定である。
本件の発端は、SPAKが道路建設に関わる2件の公共調達手続きにバリュク副首相が不当に介入したとして告発したことにある。具体的には、10月末に南部における約1億9000万ユーロ規模のトンネル建設案件、および11月下旬にティラナ市内での道路建設案件に関する調達規則違反の疑いが持たれており、同副首相はSPAKによって訴追された史上最高位の政治家となっていた。GJKKOはこの告発を受け、11月21日付けで同副首相の職務停止を決定していた。
ラマ首相はGJKKOの決定に対し、閣僚の免責特権や権力分立の原則、および閣僚任命に関する行政府の排他的な憲法上の権限を侵害するものであるとして強く反発し、11月21日に憲法裁判所へ提訴を行っていた。ラマ首相は一連の司法判断を「不合理な概念」であり「危険な前例」であると公然と批判していたが、これに対してアルバニア裁判官協会からは、行政府の長による司法の独立性への干渉であるとして懸念と憤りの声明が出されるなど、行政府と司法の対立が深まっていた。
バリュク副首相自身は、自身に向けられた疑惑を「嘘」や「半分の真実」であるとして全面的に否定しているが、今回の憲法裁判所の決定はあくまで手続き上の権限争いに関する暫定的なものであり、汚職疑惑そのものが晴れたわけではない。今後の憲法裁判所による本案審理の行方は、アルバニアの政局および司法改革の進展に対し確実に大きな影響を与えるものと見られている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)


































































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