
セルビア、対ロシア・ガス契約交渉で期限設定―合意無き場合は代替調達へ
12月2日、セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、ロシアの国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)との新たなガス供給契約が今週金曜日(12月5日)までに確保されない場合、翌週月曜日から代替の供給元との交渉を開始する方針を明らかにした。
セルビア政府プレスリリースによれば、ヴチッチ大統領は記者会見において、「金曜日までに契約に至らなければ、月曜日には交渉を開始し、別の相手からガスを調達することになる。資金はすでに確保している」と述べ、契約期限が迫る中でロシア側に対し強い姿勢を示した。
セルビアは天然ガス供給の大半をガスプロムに依存しており、2022年に締結された年間最大22億立方メートルのガス供給に関する3年契約は、2025年5月に期限を迎えた。その後、契約は9月末、10月末、そして直近では12月31日までと、短期的な延長が繰り返されている状況にある。
当初、セルビア政府はガスプロムとの新たな長期契約の締結を模索していた。しかし、欧州連合(EU)がロシア産のパイプライン経由天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)の輸入禁止を計画していることや、地政学的な情勢変化を受け、その実現は困難な情勢となっている。国営ガス会社スルビヤガス(Srbijagas)のバヤトヴィッチ(Dušan Bajatović)社長は先月、現在は長期契約ではなく既存契約の再延長を期待する段階にあるとの認識を示していた。
かつて強固な強力関係にあったセルビアとロシア両国だが、セルビアからウクライナへの武器供与疑惑に対するロシア政府の反発や、EUによる対ロ制裁への同調圧力に直面するセルビア政府の立場などの影響を受け、その関係には変化が生じている。加えて、ガスプロムが間接的に支配するセルビア石油産業(NIS)に対する米国の制裁が、新たなガス供給合意に向けた交渉をさらに複雑化させている。
ヴチッチ大統領は10月の時点で、ロシア側が長期契約ではなく年末までの短期延長を提案した背景について、NISの先行き不透明感をテコにした交渉戦術であるとの見方を示していた。「なぜ新年までなのか。論理は単純だ。もし我々がNISの国有化などに着手すれば、12月31日でガスを止めることができるというメッセージだ」と述べ、ロシア側の意図に対する警戒感を露わにしている。
現在、セルビアはトルコストリーム(TurkStream)の延長パイプラインを通じてブルガリア経由でロシア産ガスを輸入しているほか、ブルガリアとのインターコネクターを通じてアゼルバイジャンからも年間約4億立方メートルのガスを受け入れている。今年のセルビア国内のガス消費量は約27億立方メートルに達する見込みであり、ロシアとの交渉が決裂した場合、同国のエネルギー戦略は大きな転換を迫られることになる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)







































































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