【2025年EU拡大国別進捗報告書】欧州委はセルビアの改革停滞と社会的分断の深刻化を指摘

11月4日、欧州委員会は西バルカン諸国を含むEU加盟候補国の進捗状況をまとめた2025年版の年次報告書（拡大パッケージ）を発表した 。セルビアに関しては、EU加盟という戦略的目標を掲げ、2026年末までの基準達成を目指しているものの、改革の実施ペースが著しく鈍化しているとの厳しい評価が下された。特に、社会的な二極化の深化が民主的制度の機能を阻害しており、法の支配や基本的権利といった「基本的事項（Fundamentals）」分野での進展が停滞、あるいは一部で後退したことが強調されている。

公表された国別進捗報告書によると、欧州委員会はセルビアの民主主義制度に関し、選挙プロセスの透明性と包括性を高めるため、欧州安全保障協力機構（OSCE）民主制度・人権事務所（ODIHR）の未解決の勧告を完全に実施することが不可欠であると指摘した。議会については、審議開催の頻度が低く、実質的な政治的討論が欠如しており、与野党間の緊張が続いていることから、その有効性と監視機能が妨げられていると分析している。