建設・運輸・インフラ大臣が辞任を表明:駅舎崩落事故についての責任は否定
11月4日、ヴェシッチ(Goran Vesić)建設・運輸・インフラ大臣は、1日に発生したノヴィ・サド駅での屋根の崩落事故を受け、翌5日付けで大臣職を辞任する意向を表明した。
セルビア政府発表によれば、ベシッチ大臣は記者会見において、5日に正式な辞表を提出する意向であると述べ、議会が辞任を承認し次第、大臣としての職務を停止する意向であると発表した。
ヴェシッチ大臣は、辞任の理由として「今日のセルビアにおいて、自身の管轄事項に関してこのような悲惨な事故が起きた際に、責任感ある人間がどのようにして道義的責任を果たすべきかにつき、個人として模範を示したい」と述べた。一方で、「(この事故で発生した)14名の犠牲について自分や建設・運輸・インフラ省が責任を負っているという批判は受け入れられない。運輸・建設・インフラ省は、ノヴィ・サド駅舎改修事業の実施や監督について、影響を及ぼし得る立場になかった。この改修事業に係る建設許可の承認手続きはは、自分が大臣職に就く以前に全て完了していた」と述べ、駅舎崩落事故に対する自身の責任は否定した。
ヴェシッチ大臣はまた、駅舎の改修事業は中国交通建設(China Communications Construction Company:CCCC)及び中鉄国際集団(China Railway International)からなるコンソーシアムによって実施され、またその施工管理は2つの外国企業(Utiber及びEzis)が請け負っていたと述べた。
ヴェシッチ大臣は、「セルビア鉄道公社は駅舎の整備と維持についての法的義務を負っているが、なぜその義務が適切に果たされてこなかったのだろうか。誰がこの事故の発生に対して責任を負っているのか、管轄する当局が可及的速やかに明らかにすることを望む」と述べ、鉄道公社の責任を示唆する発言をしている。
1日に発生したノヴィ・サド駅での屋根の崩落事故では、子供や外国籍者を含む14名が犠牲となり、3名が重体となっている。この事故について、セルビア世論の間では、セルビア政府の責任を追及する声に加え、直近で行われた駅舎改修工事を請け負っていた中国企業の責任を問う声も強まっており、首都ベオグラードでは、野党支持者を中心とした抗議集会も行われている。
一部のセルビア国内報道によれば、中国企業コンソーシアムからの下請けで工事の施工を請け負っていたセルビア国内建設企業のオーナーと与党幹部の関係が取り沙汰されているほか、工事の施工管理を請け負っていたハンガリー企業Utiberの実質的オーナーはオルバン・ハンガリー首相と近しい関係にあったとも伝えられている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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