コソボ北部で発生した銃撃戦に対する主要国の反応
9月24日にコソボ北部のバニスカ(Banjska)村で発生し死傷者を出したセルビア人武装集団とコソボ警察の銃撃戦について、欧米主要国はコソボ警察に対する銃撃を批判するコメントを発出した。
EUのボレル(Josep Borrell)外交安保政策上級代表は、「武装したギャング集団によるコソボ警察に対する恐ろしい攻撃を最大限の言葉で非難する。この攻撃に関する全ての事実が明らかにされる必要があり、攻撃に責任を負う者は司法によって裁かれなければならない。」との声明を発表した。
また、ボレル上級代表は、直ちにコソボのクルティ(Albin Kurti)首相及びセルビアのブチッチ(Aleksandar Vučić)大統領と各々電話会談を行い、クルティ首相に対しては死亡した警察官に対する哀悼の意を表明するとともに、負傷した警察官の回復を願うと伝えた。一方、ブチッチ大統領に対しては、武装集団の即時降伏とバニスカ修道院の修道士らの安全な避難が必要であり、コソボ北部における平穏と安定の回復を呼びかけた。ボレル上級代表はまた、EU法の支配ミッション(EULEX)が現場で状況を注視しており、コソボ関係機関に対する支援を提供する用意があると述べた。
ボレル上級代表とクルティ首相及びブチッチ大統領の電話会談に関するEEASプレスリリース(EEASウェブサイト)
ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は、「米国は、コソボ警察に対する統率された暴力的な攻撃を強く非難する。この犯罪の加害者は透明性のある司法手続きによって責任を負わねばならない米国は、コソボ及びセルビア両政府に対し、緊張を悪化させるような言動を慎むよう求めるとともに、緊張緩和と治安及び法の支配の確保に向け、パートナー国と緊密に協力し、EU主導の対話に復帰するよう求める。コソボ警察はコソボにおける法執行に関する完全で正当な責任を有しており、米国は緊急事態に対する一義的な対応主体としてのコソボ警察の役割を認識しこれを尊重している。米国は、文民の安全確保に際してのコソボ警察とEULEEX及びKFORとの緊密な連携を称賛する。」との声明を発出した。
一方、ロシア大統領府のペシュコフ(Dimitry Peskov)報道官は、「現在のコソボ北部のは極めて複雑で難しい状況にある。現地では非常に緊張が高まっており、危険な兆候がある。この事態の原因の一つはセルビアに対する一部の国の偏見に満ちた姿勢がある。コソボにおいてセルビアに対する挑発が繰り返されてきたことは広く知られている。」と述べた。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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