セルビア西部で警察官が射殺される:犯行現場からコソヴォ旅券とドイツのIDカードを押収

7月17日深夜、セルビア西部のロズニツァ近郊において、検問実施中のセルビア警官2名が銃撃され、1名が死亡、1名が重傷を負った。

セルビア内務省発表によれば、事件が発生したのはボスニア・ヘルツェゴヴィナとの国境に近い西部ロズニツァ近郊のリプニツキ・ショル(Lipnički Šor)で、車両検問中であった国境警察の警官2名がトゥティン(Tutin、セルビア南西部自治体)ナンバーの車両を呈したところ、乗車していた2名の男性のうち1名が警官に対し拳銃を発砲した。これにより胸部を銃撃された警官1名が死亡し、もう1名の警官も肩付近を撃たれた。

ダチッチ(Ivica Dačić)副首相兼内相は、事件現場からはコソヴォ当局が発行したアルバニア人名義の旅券とドイツ市民権保有者のIDカードが押収されたと発表した。

セルビア国内報道によれば、セルビア捜査当局は西部国境付近及びコソヴォとの境界地域を中心に、逃走した容疑者の行方を追っている。

セルビア内務省発表によれば、押収されたIDカードはドイツのハノーバーに在住するコソヴォ・アルバニア系住民のものと判明したが、当該住民はドイツ警察に対し、旅券とIDカードは自身の兄弟が盗んだものだと証言している。この証言について、ダチッチ副首相兼内相は、「典型的な虚偽証言であり、実際には、これらのことが全て事前に仕組まれたものであることは明らかだ」と述べ、ドイツ警察に対し、旅券などを盗んだとされるこの兄弟がドイツ国内にいるか、いないとすればいつどうやって出国したのかについて、早急に回答を求めるとの姿勢を明らかにした。

ダチッチ副首相兼内相は、「このテロ行為によってセルビア警官の命が奪われるという重大な結果が生じており、セルビア政府は、ドイツ当局及び(コソヴォに展開する)EU法の支配ミッションからの全面的な協力を期待する」と述べた。

ドイツのショルツ(Oraf Scholz)首相は、セルビア政府が正式に計画再開を決定したセルビア西部ヤダルのリチウム鉱床開発計画に関する合意文書に署名するため、欧州委員会のシェフチョビッチ(Maros Sefcovic)副委員長とともに19日にセルビアを訪問することが予定されており、その際に、セルビア側との間で今回の警官銃撃事件の捜査についても取り上げられる可能性がある。

事件の第一報に関するセルビア政府プレスリリース(英語)

逃走犯の身元等に関するセルビア政府プレスリリース(セルビア語)

(アイキャッチ画像出典:Pixabay)

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