セルビア大統領が議会を解散、12月17日に前倒し総選挙実施へ
11月1日、セルビアのブチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、国民議会(一院制、定数250)を解散し、今年12月17日に前倒し総選挙を実施することを決定した。また、総選挙と同日に首都ベオグラードを含む64の自治体議会選挙を実施する事が決定された。
ブチッチ大統領が実質的に主導する与党セルビア進歩党(SNS)政権は、今年5月にベオグラードの小学校等で相次いで発生した銃撃事件以来続く野党主導抗議集会の影響もあって支持率を低下させており、特にベオグラード等の都市部では支持率低下が著しいものとなっていた。またSNS政権への批判の高まりを受けてブチッチ大統領は今年5月にSNS党首の座を退くなど、強まる野党の攻勢を受けてブチッチ大統領はかつてない程の劣勢を強いられる状況にあった。
野党側は予てより前倒し総選挙の実施を政権側に対して要求し続けており、前倒し総選挙を睨んだ選挙協力の交渉が進められてきている。抗議集会を主導する新欧米・左派野党勢力は、10月27日に次回選挙における統一戦線の形成に合意しており、前政権時の与党である民主党(DS)を中心とした政党連合を形成するものと予想される。一方で、右派・民族主義派の野党勢力は統一戦線形成には至っておらず、右派勢力の今後の動きが注目される。右派の一角であるセルビア急進党(SRS)のシェシェリ(Vojislav Seselj)党首は1日、国政選挙にはSRS単独で参加する一方でベオグラードを含む地方選挙においてはSNSとの選挙連合を形成する、との意向を明らかにした。
セルビアでは2022年4月に総選挙が実施され、SNSが約43%の得票で勝利していたが、ブチッチ大統領はその後の組閣に際して、2年以内に前倒し総選挙を行うとの意向を公にしていた。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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