ベオグラードで「プライドパレード」が開催される
9月17日、ベオグラードにおいて、性的少数者(LGBTI+)の権利擁護を訴える「ベオグラードプライドパレード」が開催された。同イベントは、性的少数者の権利擁護に関する汎欧州的取り組みである「ユーロプライド」の一環として実施されたもの。「ユーロプライド」は1992年以来同様のイベントを毎年開催しており、2022年は南東欧で初めてのホスト国としてセルビアで開催された。
同パレード開催については、8月末にブチッチ大統領が「パレードはキャンセルされるだろう」と述べ、またセルビア政府が安全上の懸念を理由に直前になって開催禁止を決定していたが、EUをはじめとした欧米諸国高官はセルビア政府に対し、パレード開催を認めるよう繰り返し要請していた。
パレード主催者は、内務省による開催禁止決定の差し止めを求めて行政裁判所への申し立てを行っていたが、これが却下された事を受け、パレードは当初予定していたルートを変更した形で実施された。パレ-ドには、セルビア国内からの参加者に加え、近隣諸国をはじめとした欧州全域からも参加者があつまり、またダリィ(Helena Dalli)欧州委員(平等担当)、欧州議会のセルビア担当報告者であるブリチク(Vladimir Blicik)議員、ヒル(Christopher Hill)駐セルビア米大使、ギアフレット(Emanuele Giaufret)駐セルビアEU大使をはじめとした欧米高官らも参加した。参加者の前でスピーチを行ったブリチク議員は、「自分は、欧州の政治家として、また多様性を支持する者としてここに立っている。今日、セルビアとベオグラードは人権に対する寛容性と敬意を示した。欧州的未来を掴むためのセルビアの取り組みは、断固たる決意を持って継続される必要がある。」と述べた。
一方で、性的少数者の権利擁護に反対するグループは、「プライドパレード」に対抗する集会を開催した。このうち、一部の参加者が警官隊と衝突した。内務省発表によればこれにより13名の警官が負傷したとされており、またブルナビッチ首相は64名が逮捕されたと述べた。
セルビアでは、2010年に開催された性的少数者権利擁護パレードの際にも、これに反対するグループと警官隊との間で大規模な衝突が発生し、100名近くの負傷者を出す事態となったことがある。
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