
2025年コソヴォ地方選決選投票-LDKが首都奪還、与党LVVは過去最多7自治体獲得の見通し
11月9日、コソヴォの18自治体で2025年地方選挙(首長選挙)の第2回投票(決選投票)が実施された。今回の選挙では、最大野党のコソヴォ民主同盟(Lidhja Demokratike e Kosovës, LDK)が首都プリシュティナ(Prishtinë / Priština)を奪還する一方、クルティ(Albin Kurti)暫定首相率いる与党「自己決定運動(Lëvizja Vetëvendosje, LVV)は第1回投票と合わせて同等としては過去最多となる7自治体で首長ポストを獲得した。
LDKはプリシュティナ(Prishtinë / Priština)、ペヤ(Pejë / Peć)、ヴィティ(Viti / Vitina)などを含む合計7自治体で勝利を確保した。LDKのアブディジク(Lumir Abdixhiku)党首は、「希望、平和、労働の名においてコソヴォは意思を示した」と述べ、国家機構を利用しない「クリーンな勝利」であったと強調した。プリシュティナ(Prishtinë / Priština)で勝利したラマ(Perparim Rama)氏は「対立に対する協力の勝利だ」と宣言した。
一方、与党LVVは南ミトロヴィツァ(Mitrovicë e Jugut / Južna Mitrovica)やジラン(Gjilan / Gnjilane)など決選投票で4自治体を制し、第1回投票と合わせて合計7自治体(2013年1、2017年3、2021年4)で勝利し、党史上最多の結果となった。クルティ首相代行は「我々の前進は誰にも止められない」と自信を示した。しかし、スヴェチュリャ(Xhelal Sveçla)暫定内相は、首都プリシュティナでの敗北(LVV候補はLDK候補に敗北)について、「プリシュティナでは誰も勝者ではなく、最大の敗者は市民だ」と述べ、LDK、PDK、AAKによる「政治的取引に基づく連合」が市民に損害を与えると批判した。なお、LVKは南ミトロビツァでの投票において重大な不正があったと主張し、再投票の実施を要請している。
コソヴォ民主党(Partia Demokratike e Kosovës, PDK, PDK)は合計6自治体で勝利した。クラスニチ(Memli Krasniqi)党首は、PDKが総得票数(約18万7千票)と地方議会議席数(206議席)において国内最強の政治勢力であることが確認されたと主張した。また、南ミトロヴィツァでLVV候補に僅差で敗れたタヒリ(Arian Tahiri)候補を「国家機構全体と戦った」と称賛し、LVVによる権力の濫用があったと強く非難した。
コソヴォ将来同盟(Aleanca për Ardhmërinë e Kosovës, AAK)は、党首のハラディナイ(Ramush Haradinaj)氏の地元ジャコヴァ(Gjakovë / Đakovica)やデチャン(Deçan / Dečani)など5自治体で勝利を収めた。ハラディナイ氏は、民主的な選挙プロセスを評価するとともに、AAKの政治的安定性が確認されたと述べた。
セルビア系住民が多数を占める自治体では、セルビア人リスト(Srpska Lista, SL)が決選投票が行われたクロコット(Kllokot / Klokot)でも勝利し、セルビア系全10自治体での支配を改めて確認した。
コソヴォ民主研究所(Democratic Institute of Kosovo, KDI)のツァコリ(Eugen Cakoli)氏は、各党が管理する自治体の予算規模に着目し、LDKが約2億7200万ユーロ(7自治体)で最大となり、次いでPDKが約195万ユーロ(6自治体)、VVが約1億7100万ユーロ(7自治体)、AAKが約1億1900万ユーロ(5自治体)となるとの試算を示した。
アファーマティブ社会活動センター(Centre for Affirmative Social Actions, CASA)のマリンコヴィッチ(Miodrag Marinković)氏は、今回の結果について、LVVへの支持が低下していることと、地方レベルでの真の政治的多元主義が存在することを示していると分析した。同氏は、アルバニア系4大政党(LVV、LDK、PDK、AAK)が自治体をおおむね均等に分け合ったことは、LVVが主張してきた「唯一の政治的正統性」が揺らいだことを意味し、野党が要求する早期議会選挙の正当性が高まったとの見解を示した。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





































































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