
コソヴォ、大統領選出の失敗により再び前倒し総選挙実施へ:前回選挙から僅か3ヶ月での再選挙
3月6日、オスマニ(Vjosa Osmani)大統領は、前夜の議会において新大統領の選出が不調に終わったことを受け、議会を解散したと発表した。オスマニ大統領は、今後の各政治勢力との協議を経て早期総選挙の日程を決定するとしている。同大統領は、今回の事態は偶発的なものではなく「慎重に計算され仕組まれたもの」であると述べ、コソヴォの利益を損なった無責任な個人に責任があるとして野党側を強く非難した。
コソヴォ憲法の規定によれば、議会は現職大統領の任期満了の30日前までに、少なくとも2人の候補者の中から、3分の2の多数を以て次期大統領を選出する必要があるとされている。政権与党の「自己決定運動」(Lëvizja Vetëvendosje:LVV)は、コニュフツァ(Glauk Konjufca)外相を大統領候補として擁立したが、野党側が対立候補の指名を拒否したため、法的な選出プロセスが完全に滞る事態となった。オスマニ大統領の任期は4月5日までとなっている。
大統領選出の不成立が危惧される中、これに先立つ3月5日、オスマニ大統領はSNS上で「これからは国民に語らせるべきだ」と発信し、大統領を国民の直接投票で選出する制度への移行を提案していた。これは、2011年の改革委員会で策定されたものの、その後の政党間の政治的妥協によって棚上げされていた憲法改正案を復活させ、議会での膠着状態を根本から解消しようとする試みであった。しかし、制度改革の実現を待たずに憲法上の選出期限を迎え、議会の混迷と解散を防ぐことはできなかった。
コソヴォ憲法の規定に基づく大統領選出期限の2時間前に開会された5日夜の議会では、全120議席中66名の議員しか出席せず、投票に必要な定足数に15名届かなかった。2014年の憲法裁判所の判決により、大統領選出の投票を成立させるには少なくとも80名の議員の出席が必要とされている。さらに同判決は、投票を有効とするために2名以上の候補者を立てることを義務付けている。そのため、政権与党の「自己決定運動(Lëvizja Vetëvendosje:LVV」)は、当初擁立したコニュフツァ(Glauk Konjufca)外相に加え、形式的な要件を満たすためだけに同党のコルチャク(Fatmire Haxha Kollcaku)議員を名簿に追加した。しかし、LVVは再選を目指していた現職のオスマニ大統領を候補とすることを拒否し、野党側との事前の合意形成も怠ったため、反発した野党が議会をボイコットする結果を招いた。
投票の2日前には、LVVを率いるクルティ(Albin Kurti)首相と、野党である「コソヴォ民主党」(Partia Demokratike e Kosovës:PDK)のハムザ(Bedri Hamza)党首、「コソヴォ民主連盟」(Lidhja Demokratike e Kosovës:LDK)のアブディジク(Lumir Abdixhiku)党首による会談が行われたが、超党派の統一候補を見出すことはできなかった。LVVのナガヴツィ(Arberie Nagavci)院内総務は野党の不参加を非難したが、野党側のアブディジク党首は、大統領は党派性を持つべきではなく、与党内の2名から選択を強いる手法は合意形成のあり方として不適切であると反論している。
議会での選出不成立を受け、ハジウ(Albulena Haxhiu)議会議長は、選出手続きの合憲性に関する評価と、判決が出るまでの選出期限の停止を求めて憲法裁判所に提訴した。一方のLVV運動側は、憲法上さらに60日間の選出猶予期間が認められていると主張しており、法的な解釈を巡る混乱も生じている。
オスマニ大統領の5年間の任期は4月5日に満了を迎えるが、新大統領が選出されない場合、議会議長が大統領代行を務めることとなる。コソヴォは、2025年2月の総選挙後にクルティ首相が多数派を形成できず、約10ヶ月にわたる政治的空白を経て同年12月に早期総選挙を実施したばかりであった。それからわずか3ヶ月足らずで再び深刻な政治的対立が生じたことで、コソヴォの政治的混迷は更に深まっている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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