EUが12億ユーロ規模の新たな西バルカン支援パッケージを発表
7月2日、欧州委員会は総額12億ユーロ規模の新たな西バルカン向け支援パッケージを発表した。EUの発表によれば、この支援は主にインフラ整備と起業支援を目的とするものであり、具体的には上下水道整備、鉄道網整備、保健・衛生、技術革新、中小企業のグリーントランスフォーメーション(GX)支援など8つのプロジェクトに対し総額約12億ユーロの支援を行う。このうち3億ユーロがEUによる加盟前支援措置(IPA)予算から拠出されるほか、二国間ドナーからの資金援助、国際金融機関による融資、西バルカン諸国からの拠出から成る。
今回支援の対象となるプロジェクトは次のとおりとなっている
ベオグラード-ベリカ・プラナ間鉄道整備事業 | セルビア |
スルプスカ共和国第2期上水道整備事業 | ボスニア・ヘルツェゴヴィナ |
ニクシッチ及びプリェブリャにおける下水道整備事業 | モンテネグロ |
ウルツィニ下水道・下水処理設備整備事業 | モンテネグロ |
ティヴァト上水道整備事業 | モンテネグロ |
ボカ湾上下水道整備事業 | モンテネグロ |
ツェティニェ上水道改修事業 | モンテネグロ |
技術革新・グリーントランスフォーメーション促進事業 | 西バルカン全域 |
EUは、西バルカンの長期的な経済回復、GX及びDXの促進、地域内の経済統合を目的とした西バルカン経済投資計画を2020年に策定しており、この計画の下で、2027年までに最大90億ユーロのEU資金による対西バルカン支援及び200億ユーロの対西バルカン投資の動員が見込まれている。
今回発表された支援パッケージは、EIPに基づく第6次支援となっており、今回発表分を含め、これまでに運輸、エネルギー、環境・気候変動、デジタル化、中小企業支援などの分野で68のプロジェクトの実施が承認されている。EIPの枠内での西バルカン支援プロジェクトは、EUと西バルカン諸国政府が共同で設置した投資プラットフォームである西バルカン投資枠組(Western Balkans Investment Framework, WBIF)を通じて実施される。
今回の支援パッケージ発表に際し、フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長は、「西バルカン諸国の将来は欧EU加盟にある。今回の支援は、西バルカン諸国自身の改革及び西バルカン諸国の欧州単一市場への参加とともに、西バルカン諸国経済のEU加盟に向けた準備を加速させるだろう。」と述べた。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
この記事へのコメントはありません。