欧州委員会がアルバニアのEU加盟進捗報告書を発表:汚職対策進展を評価しつつも、なお一層の取り組みを要求
10月30日、欧州委員会は、アルバニアに関する2024年版のEU加盟交渉進捗報告書を公表した。
報告書において欧州委員会は、アルバニアが最大の課題とされてきた汚職対策において一定の進展を見せているものの、なお一層の取り組みが必要であると指摘した。
欧州委員会は、アルバニアが当面の課題とされてきた裁判官と検察官の資格審査プロセスを98%完了しており、また汚職対策機関によるハイレベルの汚職事件の起訴でも前進が見られる、と評価した。一方で、警察、税関、土地・不動産管理、土地登記、公共調達などの分野では依然として汚職に対する脆弱性が残されていると指摘した。
欧州委員会は、公共行政改革については限定的な進展に留まっており、汚職対策戦略の実施や実力主義に基づく人材採用の確保が求められると指摘した。また、来年4月に予定される議会選挙を控え、政治的分極化により行政府に対する議会の監視機能が弱体化している状況も指摘された。
経済面について、欧州委員会は、「アルバニア経済は好調な観光産業と投資の増加に支えられ、力強い成長を記録している。インフレ率は低下傾向にあるものの、特に若年層の失業率が高止まりしており、若者の雇用対策が必要とされている」と指摘した。
欧州委員会は、近年のアルバニア社会における懸念材料として報道の自由の抑制を挙げている。報告書においては、「メディアは政治的干渉に対して脆弱な状態が続いている。メディアの透明性向上や高級官僚に対する名誉毀損の非犯罪化を進めると同時に、ジャーナリストの保護を確保することが必要である」と指摘し、アルバニア政府に対し、報道の自由の確保とジャーナリストの安全確保を求めている。
アルバニアは2014年にEU加盟候補国となった。その後、2016年に欧州委員会からの加盟交渉開始勧告を受けたものの、EU閣僚理事会が交渉開始について合意できず、EU加盟プロセスが停滞していた。しかし、2020年に閣僚理事会がアルバニアの加盟交渉開始に合意し、2024年10月にクラスター交渉を開始している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
この記事へのコメントはありません。