大統領が6月11日の前倒し議会選挙実施を決定:与党は憲法裁に対し決定の差し止めを要請
3月17日、ジュカノビッチ(Milo Đukanović)大統領は、6月11日に前倒し議会選挙を実施すると発表した。ジュカノビッチ大統領は、この前日に議会の解散を宣言していた。
ジュカノビッチ大統領は、「昨年から続く国内の政治危機を収拾し、正常な状態を取り戻すためには議会選挙を実施する以外に方法はない。」と述べた。
この大統領の決定に対し、統一改革連合(URA)、社民党(SNP)などから成る議会与党側は、2日後の3月19日に投票が実施される大統領選挙の結果が確定するまでの期間、選挙実施の決定を差し止める仮保全措置を憲法裁判所に対し要請した。
モンテネグロでは、昨年8月に政府不信任案が可決されて以来、政治的な混乱が継続している。本来であれば、不信任案可決から30日以内に新しい首相候補者が指名されねばならなかったが、最大野党である社会主義者民主党(DPS)の党首であるジュカノビッチ大統領と与党側との対立や、連立与党内部でのなどから首班指名に繰り返し失敗しており、結果的に、不信任となったアバゾビッチ(Dritan Abazović)内閣が、暫定政権として現在まで継続して政権を運営している。さらに、暫定内閣となったアバゾビッチ政権は、大統領の憲法上の権限である首班指名権を事実上議会に委譲させる内容の大統領法改正を強行するなど、大統領と与党との対立が激化していた。
違憲の疑いが強い大統領法改正については、アメリカやEUも強い懸念を示し、改正大統領法に従った(大統領による首班指名を経ない)形での新内閣樹立は差し控えるよう、アバゾビッチ政権に対して要請していた。
一方で、大統領選挙の投票を2日後に控えたタイミングでの議会選挙実施の決定について、大統領選挙での苦戦が予想されるジュカノビッチ大統領が、自身の大統領選挙での選挙戦を有利に運ぶための政治的手段として行ったのではないかとの見方も示されている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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