
EUの滞在制限強化に反発:西バルカンの運送業者が4月に国境封鎖を予告
3月4日、セルビアの国際道路運送事業者協会(MT:Poslovno udruženje međunarodni transport)は、欧州連合(EU)の新たな出入国管理システムである「出入国システム(Entry/Exit System:EES)」が全面的に運用開始されるのを前に、EU加盟隣国との国境検問所を4月14日に再び封鎖すると発表した。これは、欧州委員会(EC:European Commission)がトラック運転手の法的地位に関する改善案を拒否したことを受けた措置である。
西バルカンの運送業者らが問題視しているのは、シェンゲン圏における「180日間の期間内で最大90日間」という非EU市民の滞在制限ルールである。2025年10月から段階的に導入され、本年4月10日に完全運用が予定されているEESは、従来のパスポートへのスタンプ押印に代わり、バイオメトリックデータを用いたデジタル管理を行う。これにより、滞在日数の超過が自動的かつ厳格に検知されるようになる。MTによれば、昨年10月のEES試験運用開始以来、多くのトラック運転手が滞在期限超過を理由に逮捕や国外追放、あるいはシェンゲン圏への入国禁止措置を受けているという。
西バルカン諸国の運送業界は、この規制が物流に従事する専門職に対して差別的であると主張している。既に本年1月には、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、モンテネグロの運送業者が合同で、EU諸国との国境における貨物輸送を数日間にわたって封鎖する抗議行動を実施した。これを受けて欧州委員会との間で数回の協議が持たれたが、欧州委員会側は先月、運転手に対して長期滞在査証や居住許可の取得、あるいは既存のシェンゲン協定の枠組み内での柔軟な対応を活用するよう促すにとどまり、抜本的な例外規定の導入には否定的な立場を維持している。
こうした状況下で、周辺国でも抗議の動きが再燃している。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの運送業者らは、セルビアに先駆けて3月12日に全ての国境検問所を封鎖する計画を明らかにした。MTは、今回の封鎖行動について、欧州委員会からトラック運転手の今後の扱いに関する満足のいく書面回答が得られるまで継続する構えを見せており、近いうちに他の西バルカン諸国の業者とも共同抗議行動について協議を行うとしている。
欧州委員会の治安担当執行副委員長であるヴィルクネン(Henna Virkkunen)氏は、1月末に採択された新たな査証戦略が運送業者の懸念に対処するものであると述べているが、現場の運転手らの不満は解消されていない。物流の要であるトラック輸送が停滞すれば、地域経済のみならずEU側のサプライチェーンにも深刻な影響が及ぶことが懸念される。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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