
西バルカン諸国の輸送業者が国境封鎖を解除:EU側はEESの柔軟運用を模索する意向表明
1月30日、セルビアおよびボスニア・ヘルツェゴヴィナの輸送業者らは、欧州連合(EU)加盟国との国境における貨物輸送の封鎖を終了することを決定した。1月26日(月曜日)からセルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、モンテネグロの4カ国で一斉に開始されたこの抗議活動は、EUによる査証(ビザ)規則への柔軟な対応方針が示されたことで、週内に全ての国で解除される運びとなった。
今回の抗議活動の核心は、シェンゲン協定域内における域外国民の滞在期間を「任意の180日間で最大90日間」に制限する現行規則への不満である。輸送業者らは、この規則が頻繁な越境を必要とするプロのドライバーにとって非現実的であり、経済活動を阻害する差別的なものであると主張してきた。特に、2025年10月から段階的に導入され、2026年4月10日に完全運用が予定されている新入出国システム(EES:Entry/Exit System)により、バイオメトリクス管理を通じた厳格な滞在期間の監視が可能となることが、業者側の強い反発を招いていた。
物流業者等の反発を受け、欧州委員会のヴィルクネン(Henna Virkkunen)副委員長(技術主権・安全保障・民主主義担当)は1月29日の記者会見で、EU初となる包括的な「査証戦略」を採択したことを発表した。欧州委員会プレスリリースによれば、ヴィルクネン副委員長は、EES自体が新たな制限を設けるものではないと断りつつも、西バルカン諸国の業者の懸念を十分に理解していると述べ、安全性を確保しながらもプロのドライバーに対する柔軟な運用の可能性を模索する意向を強調した。この戦略には、信頼できる企業のリスト作成や、デジタル化による手続きの迅速化も含まれている。
封鎖の解除は段階的に進んだ。北マケドニアの輸送業者団体であるマカム・トランス(Makam-Trans)およびモンテネグロの業者は、1月29日に先行して封鎖を終了した。モンテネグロでは、ニコロスキ(Aleksandar Nikoloski)運輸大臣が示した文書に基づき、政府が保税貨物の通関時間を72時間に制限することや、植物検疫所の営業時間を大幅に延長すること、さらにディーゼル燃料の物品税還付率の引き上げを検討することなどで合意に至った。
続いて1月30日には、セルビアの国際道路輸送業者協会(MT)が封鎖の終了を表明した。同協会は、EU側がドライバーを「滞在90日間では不十分な特別なグループ」として認識し、新たな査証戦略において柔軟な枠組みを検討する方針を示したことを高く評価した。ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおいても、スルプスカ共和国(Republika Srpska)道路輸送業者協会のベベン(Igor Beben)会長が、全会一致で封鎖終了を決定したと述べた。
セルビア商工会議所によれば、今回の封鎖による経済的損失は、地域全体で1日あたり約1億ユーロに上り、そのうちセルビアだけでも5,500万ユーロの損失を被ったと推計されている。2月3日には、西バルカン各国の閣僚と欧州委員会の代表者による直接会合が予定されており、国際輸送の円滑化とドライバーの法的地位の改善に向けた具体的な議論が交わされる予定である。
(アイキャッチ画像出典:Dreamestime)





























































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