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【報道】米国がNISの操業ライセンスを2月20日まで延長:MOLによるロシア側保有株式買収の基本合意を受け

セルビア公共放送RTSは、1月23日、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)が、セルビア唯一の石油精製会社であるセルビア石油産業(Naftna industrija Srbije:NIS)に対する操業ライセンスの有効期限を、2月20日まで延長したと報じた。この決定は、ハンガリーの石油ガス大手MOL(Magyar Olaj- és Gázipari Nyilvánrtó Részvénytársaság)が、NISの過半数株式を保有するロシア企業からの持分買収について、暫定的ながらも法的拘束力のある基本合意に至ったことを受けたものだとされている。

RTSの報道によると、OFACはセルビア財務省宛ての書簡において、米国企業や米金融システムが関与せず、かつNIS以外の制裁対象主体の利益とならないこと等を条件に、ライセンスが引き続き有効であると通知した模様。

MOLによる買収合意と株主構成の再編

今回のライセンス延長の背景には、NISの脱ロシア化に向けた具体的な進展がある。1月19日、MOLはロシアのガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が保有するNIS株式の56.15%を取得することで、同社と基本合意書を締結したと発表した。

また、この再編スキームにはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(Abu Dhabi National Oil Company:ADNOC)も関与しており、MOLが過半数支配権を維持しつつ、ADNOCを少数株主として迎え入れる交渉が進められている。さらに、セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー相によれば、セルビア政府もMOLとの間で覚書を締結しており、国家によるNISへの出資比率を現在の29.87%から5%引き上げ、持ち分を3分の1以上に拡大する道筋がつけられた。これにより、エネルギー安全保障の観点から重要な国益を確保する狙いがある。

制裁の影響と供給の正常化

米国財務省は2025年1月、ロシア資本が支配的であることを理由にNISを制裁対象に指定した。数度の延期を経て同年10月に制裁が完全施行されると、OFACはロシア企業の完全撤退を要求。これに伴い、NISは12月上旬からパンチェヴォ(Pančevo)製油所の稼働停止を余儀なくされ、クロアチアのアドリア石油パイプライン(JANAF:Jadranski naftovod)経由の原油輸入もストップしていた。

しかし、先月発行された暫定ライセンスにより、12月末からは原油輸入と生産活動が再開されている。ジェドヴィッチ・ハンダノヴィッチ大臣によれば、製油所での生産は順調であり、2月27日には国内市場へディーゼル燃料等の石油製品が供給される見通しである。同大臣は今回のライセンス延長を「国家の大きな勝利」と評し、燃料不足や買い占めパニックを防ぎ、市場の安定を維持できたことを強調した。

今後の見通し

ジェドヴィッチ・ハンダノヴィッチ大臣は、MOLとの交渉について「非常に困難で集中的なものであった」と振り返り、MOL側の要求をすべて受け入れたわけではなく、将来的な鉱区使用料(ロイヤルティ)引き上げの可能性など、セルビア側の権利は守り抜いたと述べている。

MOLとガスプロム・ネフチは、OFACおよびセルビア規制当局の承認を前提として、3月31日までに正式な売買契約(SPA)を締結することを目指している。一方、OFACが設定したロシア資本撤退のための交渉期限は3月24日となっており、今後の手続きが期限内に完了するかどうかが焦点となる。

NISはセルビア国内に327箇所のガソリンスタンドを有し、国内燃料需要の8割を支える重要インフラであるだけでなく、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(Bosna i Hercegovina)、ブルガリア、ルーマニアでも事業を展開し、約1万4000人の雇用を抱える地域経済の要である。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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