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NISの製油所が稼働再開、ロシア資本離脱に向けた売却交渉はなお継続

1月18日、ジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー相は、国内唯一の製油所であるパンチェヴォ(Pančevo)製油所において、約2カ月間の停止を経て石油製品の生産が再開されたことを発表した。同大臣は自身のソーシャルメディア・アカウントへの投稿を通じて、製油所に従事する約2,000人の従業員が生産を急いでおり、1月27日までには同製油所産のユーロディーゼルが各ガソリンスタンドに供給される見通しを示した。また、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領を中心とした外交交渉の結果、現在はロシア資本傘下にあるセルビア石油産業(Naftna industrija Srbije:NIS)に対する制裁の影響を市民が受けることなく、公約を果たせたことへの自負を表明した。

パンチェヴォ製油所の稼働再開は、NISが直面している複雑な所有権問題と米国の制裁措置が背景にある。米国財務省は2025年1月、ロシア資本が過半数を占めるNISを制裁対象に指定した。制裁の実施は数回延期されたものの、2025年10月に本格的な制限が開始され、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)はロシア資本のNISからの完全な撤退を要求している。NISの株式は現在、ロシアのガソリン大手ガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が44.85%、サンクトペテルブルク拠点のインテリジェンス(Intelligence)社が11.3%を保有し、計56.15%がロシア側の支配下にある。セルビア政府の保有比率は29.87%にとどまっている。

ヴチッチ大統領は18日夜のテレビインタビューにおいて、NISのロシア保有分の売却に関する合意は主要項目で未だ成立していないとのべたものの、交渉継続への期待を語った。

出典:Александар Вучић

現在、NISの現行の運営ライセンスが1月23日に期限を迎えるため、セルビア政府は1月20日までに売却契約の要点をOFACに送付し、ライセンスの延長判断を仰ぐ必要がある。交渉の主な相手方はハンガリー石油天然ガスグループMOLであるが、ヴチッチ大統領はアラブ首長国連邦のアブダビ国立石油会社(ADNOC:Abu Dhabi National Oil Company)がパートナーとして関与する可能性も示唆している。ヴチッチ大統領は先週、アブダビでムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(Mohamed bin Zayed Al Nahyan)大統領と会談し、NIS問題についても協議を行った。

ハンガリーのシーヤルトー(Péter Szijjártó)外務貿易相は16日、MOLがロシア側オーナーとの間で1〜3日以内に主要な合意に達する現実的な可能性があると述べており、MOLによる過半数株式取得への期待が高まっている。セルビア政府としては、今回の株式譲渡を通じて自国の保有比率を5%引き上げることを目標としている。

NISはセルビア国内の燃料消費の8割を供給し、327箇所の給油ネットワークを運営するほか、隣国ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、ルーマニアでも事業を展開する極めて戦略的なエネルギー企業である。12月にはクロアチアのヤナフ(Janaf:Jadranski naftovod)パイプライン経由の原油輸入が制裁により遮断されたことで製油所が停止したが、今回の稼働再開は一時的なOFACのライセンス付与によって実現した。3月24日の最終的な売却期限を前に、今週行われるOFACへの報告がNISの今後の運命を左右することになる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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