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モンテネグロ海軍の近代化が加速-フランスでの新型哨戒艦建造が本格化

12月18日、モンテネグロのベチッチ(Aleksa Bečić)副首相(安全保障・国内政策・欧州・外交担当)は、クラポヴィッチ(Dragan Krapović)国防相、ヴクサノヴィッチ(Miodrag Vuksanović)参謀総長、ヴコヴィッチ(Darko Vuković)海軍司令官、およびラロヴィッチ(Dubravka Lalović)駐仏大使らとともに、フランスのラネステール(Lanester)にあるケルシップ(KERSHIP)造船所を訪問した。この訪問は、モンテネグロの近現代史において最大規模の防衛プロジェクトである新型哨戒艦2隻の建造状況を視察するために行われた。

モンテネグロ政府プレスリリースによれば、建造されているのは、モンテネグロ海軍向けに「ペタル1世・ニェゴシュ(Petar I Njegoš)」および「ペタル2世・ニェゴシュ(Petar II Njegoš)」と命名される予定のOPV 60M型哨戒艦である。2025年4月の起工から約7か月が経過し、現在は1隻目の建造が目に見える形で進展しているほか、2隻目の作業も本格的な段階に移行している。ベチッチ副首相は、1隻目の甲板に初めて足を踏み入れ、プロジェクトが計画通り着実に進んでいることを確認した。

今回の哨戒艦導入は、1980年代に建造された旧式の艦艇を主力とするモンテネグロ海軍にとって、抜本的な近代化を意味する。ベチッチ副首相は、このプロジェクトがフランスとの伝統的な同盟関係の「王冠」であり、北大西洋条約機構(NATO)の信頼できる同盟国としての地位を強化するものであると強調した。

また、今回の視察が、モンテネグロが欧州連合(EU)加盟交渉において新たに5つの政策分野(チャプター)の交渉を暫定的に完了し、大きな進展を遂げたタイミングと重なったことの重要性にも言及した。モンテネグロは12月16日に、第3章(設立の権利およびサービスの提供の自由)、第4章(資本の自由な移動)、第6章(会社法)、第11章(農業および農村開発)、第13章(漁業)の交渉を暫定的に終了しており、これで全33章のうち12章が閉鎖されたことになる。

クラポヴィッチ国防相は、新型哨戒艦の導入により、領海内における国家利益の保護能力が向上し、海上交通の安全確保や不法行為の阻止、さらにはNATOの国際任務への貢献が大幅に強化されるとの見解を示した。KERSHIP社ウェブサイトの説明によれば、導入されるOPV 60Mは全長約64メートルで、最新の指揮統制システム「ポラリス(Polaris)」を搭載しており、モジュール設計により将来的な技術更新も可能となっている。

現在、造船所にはモンテネグロ軍の専門家チームが常駐しており、品質管理と将来の運用準備にあたっている。現場では平均して約100名、多い時には130名程度のフランス人技術者が日々作業に従事しており、極めて複雑なプロジェクトながら計画された納期は維持されている。ベチッチによれば、1隻目のモンテネグロ到着は2027年春、2隻目は同年秋になる見通しである。今回のプロジェクトの総額は1億2,000万ユーロ(約196億円)を超えない範囲で合意されており、モンテネグロの国家安全保障と欧州統合に向けた戦略的な投資として位置付けられている。

(アイキャッチ画像出典:KERSHIP社ウェブサイト)

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