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アルバニア、UAE企業とAI監視システム導入契約を締結:20都市に5千台のスマートカメラを設置へ

12月19日、アルバニアのコチュ(Albana Koçiu)内務大臣は、アブダビを拠点とする人工知能(AI)企業プレサイトAI(Presight AI)が率いるコンソーシアムとの間で、全国規模のスマート監視システム「スマートシティ・アルバニア(Smart City Albania)」を導入するための契約を締結した。

アルバニア政府プレスリリースによれば、ティラナ(Tirana)で行われた署名式には、ラマ(Edi Rama)首相や各自治体の首長、外交官、国家警察(Policia e Shtetit)の幹部らが出席した。このプロジェクトは、AIを活用して公共の安全、交通管理、緊急対応を統合的に強化することを目的としている。

本プロジェクトに基づき、アルバニア国内の主要20都市における道路、主要幹線、広場、および学校を含む公共施設に、約5,000台の高解像度スマートカメラが設置される。これらのカメラは、単なる映像記録に留まらず、AIがリアルタイムでデータを分析し、異常な動きや潜在的なリスクを検知して自動的に信号を送る機能を備えている。また、国家警察の透明性と専門性を高めるため、警察官の制服に装着するボディカメラ3,000台のほか、速度違反を取り締まるインテリジェント・レーダーや騒音センサーも導入される。収集された全てのデータは、最新の科学技術を用いたプログラムを通じて処理され、迅速な意思決定を支援する一元的な指令・管理センターで管理される。

プロジェクトの資金面については、アラブ首長国連邦(UAE)が総額1億1,850万ドル(約1億117万ユーロ)を拠出する。このうち2,000万ドルは無償資金協力であり、残りの9,850万ドルはアブダビ開発基金(ADFD:Abu Dhabi Fund for Development)からの融資によって賄われる。コチュ大臣は、このモデルがUAEにおいて成功を収めていることを強調し、AIを公共安全の最前線に導入することで、アルバニアが世界でも先進的な技術を持つ「エリート諸国」の仲間入りを果たすとの認識を示した。

コチュ大臣はまた、プロジェクトの導入による具体的な期待効果として、犯罪の発見率が30%向上し、交通事故による死亡者が最大45%減少すると述べた。さらに、効率的な交通管理により渋滞時間が30%短縮されるほか、警察の事務的な負担も30%軽減され、より多くの人員を市民の保護に充てることが可能になるという。プレサイトAIのプラモテダム(Thomas Pramotedham)CEOも、アルバニア当局との協力関係を評価し、このプロジェクトが同国の安全保障とデジタル変革を加速させる重要な一歩になると強調した。

今回の契約締結は、ラマ政権が掲げる「デジタル・アルバニア」構想の重要な柱の一つであり、2030年までの欧州連合(EU)加盟に向けた国家の近代化を象徴するものとして位置づけられている。

(アイキャッチ画像出典:アルバニア内務省ウェブサイト)

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