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アルバニア憲法裁、ラマ政権によるティラナ市長解任の決定を覆す

11月3日、アルバニア憲法裁判所(Gjykata Kushtetuese)は、汚職容疑で勾留中の首都ティラナ(Tirana)市長、ヴェリアイ(Erion Veliaj)氏の解任を決定した閣僚評議会(Këshilli i Ministrave)の決定、およびヴェリアイ氏の解任に伴うティラナ市長選挙の実施を定めた大統領令を覆す判決を下した。

ヴェリアイ氏は、汚職、資金洗浄、資産隠蔽の容疑で汚職対策特別検察(SPAK)によって本年2月から勾留されており、市長としての職務を遂行できない状態が続いていた。同氏は容疑を否認し、逮捕は不当であると主張している。

ヴェリアイ氏の解任は、9月初旬に4期目の組閣を行ったラマ(Edi Rama)首相によって提案された。これを受け、ティラナ市議会は、ヴェリアイ氏が3ヶ月以上連続して職務を欠席したことを理由に解任を議決した。アルバニアの法律では、市長は憲法・法律違反、最終的な有罪判決、または3ヶ月連続の職務欠席のいずれかの場合に解任され得る。

ヴェリアイ氏側は、この解任措置と新たな選挙の決定を「違憲行為」であると非難していた。同氏は、同じく汚職疑惑で捜査を受けながら自宅軟禁下で市長職に留まっている北部トロポヤ(Tropoja)の市長の事例を引き合いに出していた。憲法裁判所における法的論争は、政府が解任の根拠として用いた理由と、その手続きが適正であったかどうかに焦点が当てられていた。ヴェリアイ氏は、解任手続きの開始について正式な通知を受けていなかったとも主張していた。

憲法裁判所は、ヴェリアイ氏側の訴えを認め、閣僚評議会による解任決定と、それに伴う新たな選挙の実施を無効とした。

この判決を受け、アルバニアのラマ(Edi Rama)首相は自身のX(旧Twitter)アカウントへの投稿を通じて見解を表明した。首ラマ相は、この決定によって自身が全ての権力を掌握しているわけではないことが改めて証明されたとし、これは明確であり良いことだと述べ、司法の独立性が機能していることを強調した。

さらにラマ首相は、憲法裁が次の選挙(2027年予定)まで再選挙を行わず、勾留中の現市長を解任できないと判断したのであれば、ヴェリアイ氏を継続して勾留することは、本人への権利侵害であるだけでなく、自分たちが選出した代表者による奉仕を受けるというティラナ市民の憲法上の権利をも侵害することになると指摘した。その上で、憲法裁が原則に基づいた立場をとるのであれば、ヴェリアイ氏を釈放し、自由な状態で裁判を受けさせつつ職務に復帰させるべきであるとの論理的帰結を示唆した。

ラマ首相は現在の状況を「不条理な膠着状態」と表現し、首都が長年にわたり指導者不在の「孤児」のように扱われることがないよう、事態の解決を求めた。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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