モンテネグロが新たに3つのチャプターについてのEU加盟交渉を完了

12月16日、EU加盟国とモンテネグロは、モンテネグロのEU加盟交渉に関する第17回政府間会合を開催し、3つの政策分野(チャプター)について、EU加盟交渉を暫定的に完了することに合意した。

欧州理事会プレスリリースによれば、この日の会合において、モンテネグロとEU加盟国は、新たにチャプター7(知的財産法)、10(情報社会・メディア)、20(企業・産業政策)についてのEU加盟交渉を暫定的に完了することで合意した。

会合後の共同記者会見において、モンテネグロのスパイッチ(Milojko Spajić)首相は、「過去11ヶ月で3度目の政府間会合の開催は、EU加盟に対するモンテネグロの強い決意を示すものである。7年ぶりとなる新たなチャプターの交渉妥結は、モンテネグロとEUの双方にとって重要な成果である。モンテネグロは2026年末までに残る全てのチャプターの交渉を開始し、2028年までのEU加盟を果たすことを目標としている。この目標達成に向け、国内ステークホルダーの取り組みを一体化させるための新たなプラットフォームである『バロメーター26』を打ち出すとともに、特にクロアチアとの建設的かつ友好的な対話を重視している」と述べた。

EU議長国であるハンガリーのシーヤルトー(Péter Szijjártó)外務・貿易大臣は、「モンテネグロが7年ぶりに新たなチャプターの交渉を完了したことに祝意を表する。モンテネグロの素晴らしい取り組みはEU拡大プロセス全体に対して新たなエネルギーとモメンタムをもたらしている。西バルカン諸国のEU加盟プロセスは既に開始から15年以上が経過しており、あまりに時間が掛かりすぎている。加盟プロセスの遅延は主にEU側に責任があり、このような状況が続けば、EU拡大だけではなくEUそのものに対する西バルカンからの信頼が損なわれることになる」と述べた。

コス(Marta Kos)拡大担当欧州委員は、「今回の政府間会合は、EU加盟に向けたモンテネグロの着実な進展を示すと政治的シグナルであると同時に、EU加盟がメリット・ベースのアプローチに基づくものだということを改めて示す機会となった。西バルカンのEU加盟交渉において、過去10年間で交渉完了した8つのチャプターのうち6つがモンテネグロによるものである。欧州委員会は、モンテネグロがEU加盟に向けて掲げる野心的な計画の実施を支援する」と述べた。

駐日EU代表部の説明によれば、EUへの新規加盟に際して、新規加盟国側はEUが設定している3つの基準(政治的基準、経済的基準、法的基準)を満たす必要があるが、西バルカン諸国のEU加盟交渉においては、「チャプター」と呼ばれる35の個別政策分野ごとに交渉が行われている。欧州委員会は2020年にこの交渉方式を改訂しており、「改訂拡大方式(revised enlargement methodology)」と呼ばれる現在の交渉方式においては、複数のチャプターをひとまとめにした「クラスター」毎に交渉の開始と妥結を図ることになっているが、2020年以前にチャプター交渉を開始しているモンテネグロとセルビアについては、部分的にチャプター単位での交渉妥結が図られている。

モンテネグロは2012年にEU加盟交渉を開始しており、これまでに33のチャプターについて交渉が開始され、このうちチャプター25(科学・研究)、26(教育・文化)、30(対外関係)について既に交渉を完了しており、今回完了した3つのチャプターと合わせ、6つのチャプター交渉を完了した形となる。

西バルカンでは、セルビアがチャプター交渉を開始しており、これまでに22のチャプターの交渉を開始し、うち2つのチャプターの交渉を完了している。またアルバニアは今年10月に改訂拡大方式におけるクラスター交渉を開始している。33のチャプターの交渉を開始し、このうち6つのチャプターについて交渉を完了したモンテネグロは、西バルカン諸国の中では最もEU加盟交渉の進んだ国となっている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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