セルビア副首相がプーチン露大統領と会談:プーチン大統領はセルビアへのエネルギー供給におけるロシアの役割を強調
9月4日、「東方経済フォーラム」に出席するためウラジオストクを訪問していたセルビアのヴリン(Aleksandar Vulin)副首相は、ロシアのプーチン(Vladimir Vladimirovich Putin)大統領と会談を行った。
セルビア政府発表によれば、ヴリン副首相はプーチン大統領に対し、「ヴチッチ大統領のリーダーシップの下で、セルビアはロシアに制裁を加えることも、NATOに加盟することも、セルビアの領土を反ロシア的な企てに利用させることも決してない」と述べた。
またヴリン副首相は、セルビアの領土一体性と主権の尊重及びコソヴォ独立に反対するというロシアの確固たる立場に対する謝意を表明したほか、国連総会においてスレブレニツァ決議に対しロシアが反対票を投じたことに対する特別の謝意を証明した。
ヴリン副首相は、「セルビアとロシアは、共通の過去だけではなく、共通の未来によっても結びついている」と述べつつ、セルビアとロシアの二国間関は引き続き高い水準にあり、両国間の包括的戦略的友好関係が両国民の利益のために強化され続けていることを強調した。
一方、ロシア大統領府発表によれば、プーチン大統領はヴリン副首相に対し、概要次のとおり述べたとされている(強調表示は当サイトによるもの)。
ロシアとセルビアの関係は、我々の歴史的紐帯と両国民の精神的親和性に深く根ざしている。
残念ながら、我々の貿易関係は僅かながらであるものの低下してきている。セルビア政府がこの問題に取り組んでいることは承知している。おそらく、我々は、目下直面している障害について検討するため、政府間委員会の会合を開くべき時に来ている。それに加え、我々は、製造業、運輸、産業協力といった分野での興味深い協力の可能性を有している。
承知の通り、ロシアはセルビアに対するエネルギー源の供給において重要な役割を果たしており、常にタイムリー且つセルビアに有利な条件の下で、効率的且つ高水準の供給を行っている。この点に関して、我々には解決しなければならない問題がある。例えば、現在のガス供給契約は2025年3月に期限切れを迎えるという事実に言及しておきたい。
出典:ロシア大統領府ウェブサイト
セルビアは国内エネルギー需要の大部分をロシアに依存しており、特に天然ガスについては、2021年の時点で国内需要の約80%をロシア産ガスに依存していた。またセルビアは、旧国営の石油産業公社(NIS)を2010年に露ガスプロムに売却している。
一方で、ロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアへのエネルギー依存を低減させるよう求める欧米の圧力もあり、天然ガス供給源の多様化を図りつつあり、アゼルバイジャン産ガスの購入契約を締結したほか、ブルガリアやルーマニアとのガスパイプライン接続の取り組みが進められている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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