大統領選挙決選投票:ミラトビッチ候補がジュカノビッチ大統領を破り新大統領に

4月2日に投開票が行われたモンテネグロ大統領選挙決選投票は、第1回投票で第2位の票を獲得した、新興政党「今こそ欧州へ」(ES)副党首のミラトビッチ(Jakov Milatović)候補が、現職であり議会最大野党の社会主義者民主党(DPS)党首であるジュカノビッチ(Milo Đukanović)候補を破り、新大統領にとなることが確実となった。

公共放送RTCGは、国内選挙監視NGOである監視調査センター(CeMI)による出口調査結果に基づく数字として、ミラトビッチ候補が60%、ジュカノビッチ候補が40%の得票率であったと報じた。第1回投票での得票率は、ジュカノビッチ候補が35.7%、ミラトビッチ候補が28.9%であった。

第1回投票後、19.3%の得票で第3位だったマンディッチ(Andrija Mandić)候補、同じく11.1%で第4位であったベチッチ(Aleksa Bečić)候補が相次いでミラトビッチ候補支持を表明しており、また現在の連立与党もミラトビッチ候補を支持していたことから、決選投票ではミラトビッチ候補が有利と見られていた。

選挙結果を受けて勝利宣言を行ったミラトビッチ候補は、「今日、モンテネグロは、時代後れのジュカノビッチ体制に別れを告げ、前進するための重要な一歩を踏み出した。」と述べるとともに、今後5年以内にモンテネグロのEU加盟を実現すると明言した。

出典:Al Jazeera Balkans

一方、ジュカノビッチ候補は敗北を認めたうえで、「モンテネグロ国民の選択を尊重する。新大統領が国民の信頼に値する人物となり、民主的で繁栄したモンテネグロのために貢献してくれることを望んでいる。」と述べた。

出典:Al Jazeera Balkans

ジュカノビッチ候補は、モンテネグロがユーゴスラビア連邦共和国の一部であった1990年に当時のモンテンネグロ共和国の首相に就任して以来30年以上にわたり、首相と大統領のポストを歴任しながら、モンテネグロ政界の最高実力者の座を維持してきた。しかし、ジュカノビッチ候補が党首を務めるDPSは2020年の議会選挙において敗北し、野党に転じていた。現地メディアや有識者の間では、今回の大統領選挙での敗北により、モンテネグロにおけるジュカノビッチとDPSの権威失墜は決定的なものとなったという見方が支配的となっている。

なおジュカノビッチ大統領は、大統領選挙第1回投票直前の3月17日に、議会を解散し前倒し議会選挙を6月11日に実施するとの決定を下している。

(アイキャッチ画像出典:Wkimedia commons)

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