モンテネグロ議会が内閣不信任案を可決

8月19日、モンテネグロ議会は、社会主義者民主党(DPS)等によって提出されていた内閣不信任案の議決を行い、賛成50(議会定数81)で不信任案は可決された。これにより、4月下旬に成立したアバゾビッチ(Dortan Abazovic)現政権は約3ヶ月という短命に終わることとなり、これは2006年にモンテネグロが独立して以来、最も短命の政権となった。

不信任案の投票に先立つ議会演説の中でアバゾビッチ首相は、「タバコやコカインの密輸を行っている犯罪組織と結託し利益を得ている政党が、この不信任案を提出した。また、政府を批判する国内メディアの中には密輸から得られた利益によって運営されているものがある。」と述べ、不信任案を提出したDPS等を非難した。

DPS等は不信任案提出の理由として、アバゾビッチ政権が法の支配強化やEU加盟交渉の促進といった公約を果たしていないことを挙げているが、実質的な理由は、モンテネグロ政府とセルビア正教会の関係を規定する基本合意文書にアバゾビッチ首相が署名したことだと考えられている。基本合意への署名に強く反対していたDPSのジュカノビッチ(Milo Djukanovic)党首は、以前より「アバゾビッチ首相が基本合意文書に署名した場合には、政権への協力を取り止める」との意向を表明していた。8月3日にアバゾビッチ首相が事前のアナウンス無しに基本合意文書に突如として署名したことについて、DPSは「憲法違反であり、国内の同意を得ていない。」として強く非難していた。

不信任案に対しては提出者であるDPS等の野党のほか、以前連立政権に参加していた「民主的モンテネグロ」も賛成票を投じた。一方、連立与党各党のほか、セルビア正教会との合意文書に賛成している野党の民主戦線(DF)は、投票時に議場から退席した。

今後は憲法規定に従い、新内閣の組閣もしくは総選挙の実施が見込まれており、それまでの期間、現政権は暫定政権として継続する。

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