ベオグラード地下鉄3号線整備事業事前調査の入札が公示される
ベオグラード市内の地下鉄整備事業及び鉄道事業を運営しているベオグラード地下鉄・鉄道公社(PUC Belgrade Metro and Train)は、ベオグラード地下鉄整備事業に関し、地下鉄3号路線の整備についての実現可能性調査及び環境影響評価の実施業者を選定するための入札を公示した。
公示された入札文書によれば、事前調査の予算規模は29億5,000万ディナール(約2,560万ユーロ)とされ、落札業者は概念設計を含む実現可能性調査及び環境影響評価の報告書作成を求められる。応札期限は10月1日とされている。
セルビア初の地下鉄となるベオグラード地下鉄整備について、セルビア政府は、2021年1月に仏のアルストム及びエジスレール、そして中国の中国電力建設(PowerChina)との間で了解覚書(MoU)を署名しており、最初の整備区間である地下鉄1号線及び2号線の建設工事は2021年11月に開始された。
地下鉄整備計画によると、ベオグラード地下鉄は当初、市内東部のミリイェヴォから南西部郊外のジェレズニクを結ぶ1号線(21km)と、同じくミリイェヴォからサヴァ川を渡って新市街のゼムンを結ぶ2号線(24km)の2路線で構成され、その後、南東部郊外のバニツァから市内中心部を経由してゼムンまでを結ぶ3号線が整備されると同時に、市内を走る既存の鉄道網とも接続される予定となっている。2021年時点での推計では、この地下鉄整備に伴う総事業費は約44億ユーロと見込まれていた。
今年3月、ベオグラード地下鉄・鉄道公社は、アルストム及び中国電力建設との協定を締結しており、これにより、中国電力建設が建設工事を実施する一方、アルストムが列車や線路、信号・通信設備などの地下鉄運行システムの納入と設置を担当することが決まっている。
また、アルストムとの間では同時にコンサルティング契約も締結された。この契約に基づき、アルストムが包括的な地下鉄整備計画を策定する予定となっており、アルストムは既に、車両基地の建設を最優先としたうえで、次に1号線の建設を行う方針を示している。このコンサル契約締結によって、アルストムがベオグラード地下鉄全体の設計、建設、運用を担当するための本契約を締結する可能性が高まったと見られている。
今年4月、マリ(Sniša Mali)財務相は、車両基地工事について、当初予定していた今年12月の予定を前倒しし、夏までには工事が完了するとの見通しを示していた。マリ財務相はまた、1号線の建設工事が遅くとも2029年までに完了する見込みであり、2号線の計画もすでに進行中であると発言している。
(1ユーロ=117ディナール)
(アイキャッチ画像出典:ベオグラード地下鉄・鉄道公社)
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