セルビア議会が原子力モラトリアム解除法案を可決:原発整備に向け前進
11月27日、セルビア議会は、国内での原子力発電所建設禁止を解除するエネルギー法改正案を可決した。この改正により、旧ユーゴスラヴィア時代に定められた原発モラトリアムが解除され、セルビア国内での原発整備に向けた法的制約が解消されることになった。
セルビア政府は、既に原発モラトリアムを事実上撤回し、原発整備に向けた取り組みを進めてきている。鉱業・エネルギー省は、今年7月に公表した統合国家エネルギー・気候計画の中で、気候変動対応シナリオの一つとして、2040以降に総容量1,000メガワットの原発の導入を検討するとしている。また今年8月、原発建設を含む原子力の平和利用プログラムを策定し、9月には仏国営エネルギー企業EDFと仏コンサルティング企業Egis Industriesに対し、民生用原子力発電音潜在的利用に関する予備的技術調査を委託している。
今年8月のマクロン(Emmanuel Jean-Michel Frédéric Macron)仏大統領のセルビア訪問の際には、仏製ラファール戦闘機の調達契約等と並んで、「セルビア政府とフランス電力間の了解覚書の一部としてのセルビアにおける民生用原子力プログラム開発の可能性評価に関する契約書」が両国政府間で署名されている。
ユーゴスラヴィアは1989年に、チェルノブイリ原発事故を受けて国内での原発建設を禁じる法律を制定しており、これはセルビアにも適用されてきていた。しかし、ヴチッチ(Aleksandr Vucic)大統領は、2023年3月に開催された世界原子力エネルギー・サミットの際に、この法律を改正し同国初の原発建設に向けて取り組む姿勢を表明していた。
この記事へのコメントはありません。