セルビアで35年ぶりとなる新規石炭火力発電所が中国の支援によって完成:欧州最後の石炭火力発電所になる可能性も
12月13日、セルビア国営電力公社EPSは、中国の支援によって建設されたコストラツB3石炭火力発電所について、工事を施工した中国機械工程(CMEC)から引き渡しを受けたと発表した。セルビアにとっては、35年ぶりの新規石炭火力発電所の完成となった。
EPSプレスリリースによれば、ベオグラードの東に位置するコストラツB3は、出力350MWで、年間発電量は2.2~2.5テラワットを見込んでいる。EPSのドゥシャン・ジフコビッチ総裁によると、SO2(150mg/㎥以下)、NOx(200mg/㎥以下)、粉塵(10mg/㎥以下)に関するセルビア国内法が定める環境基準値については、試験運転の段階でクリアしたとされている。
コストラツB3は、2010年にCMECとの枠組み合意が締結され、2017年に着工し、7年の建設期間を経て完成に至った。総事業費は7億1,560万ドルであり、このうちの85%を中国輸出入銀行が20年ローンとして融資している。建設には中国、ドイツ、セルビアなど130社が参画した。
セルビア政府プレスリリースによれば、引渡式に出席したジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー大臣は「これはセルビアの電力産業にとって歴史的な日である」と述べ、エネルギー自給の重要性を強調した。同大臣によれば、コストラツB3はセルビアの総発電量の約5%を供給する見通しだとされている。
CMECのファン・ヤンシュイ総裁は「送電網への接続以降、コストラツB3は高度な自動化により安定的かつ効率的な運転を実現している」と述べ、環境性能についても「欧州の基準を大きく上回る」と強調した。
EPSは同じコストラツ地区において、EPSとしては初となる風力発電所及び太陽光発電施設を建設中であり、さらに国内6カ所で総出力1.2ギガワットの太陽光発電施設建設も計画している。一方で、老朽化した2基の石炭火力発電所が今後休止予定となっている。
欧州各国で脱石炭が加速する中、ボスニア・ヘルツェゴヴィナやトルコで計画されている石炭火力発電所建設事業は困難に直面しており、コストラツB3は欧州で最後の石炭火力発電所となる可能性もあるとされている。
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