ベオグラードで過去最大級の抗議デモが行われる
12月22日、セルビアの首都ベオグラードで数万人から10万人規模の抗議デモが行われた。この抗議活動は、11月に北部の都市ノヴィ・サドの駅舎で発生し15名の死者を生んだ屋根崩落事故の責任追及を求めるものであり、学生や農民が中心となって組織された。
デモ参加者たちは、国民議会や大統領府にほど近いスラヴィア広場に集結し、駅舎屋根崩落事故で亡くなった15名の犠牲者を追悼して15分間の黙祷を捧げた。この事故では当初14名が死亡、3名が負傷したが、その後負傷者の1名が死亡している。
内務省の発表によると、デモの参加者数は2万8000から2万9000人とされているが、大規模デモの記録を行っている国内NGOは、10万から10万2000人と推計している。一部のセルビア国内メディアは、この日の抗議デモは、セルビアにおける政府に対する抗議デモとしてはミロシェヴィッチ政権を崩壊させた2000年10月5日のデモに次ぐ規模であったと報じている。
参加者たちは「汚職が人を殺す」「学生は沈黙しない」「休校ではなく正義を求める」などと書かれた横断幕を掲げた。最後のスローガンは、抗議活動の広がりを受けた政府が、今年の楽器を予定より1週間前倒しとなる12月23日に終了させる決定を行ったことへの批判を示している。
学生たちは数週間にわたり、駅舎の改修工事に関する全ての文書の公開と、事故の責任者の起訴を要求している。セルビア国内報道によれば、現在までに国内5つの国立大学の62以上の学部で、学生によるキャンパスの封鎖が続いている。
政府は抗議を受けて改修工事関連の文書を公開したが、学生側は文書が不完全だと主張している。
ノヴィ・サド検察当局の最新の発表によると、この事故に関連して10名が身柄を拘束されている。また、これまでに2名の閣僚が事故に関連して辞任している。
この大規模抗議デモを受け、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は自身のインスタグラムに投稿した動画において、「本日、野党と同様の考え方をする人々による極めて大規模な抗議集会が行われた」としたうえで、「抗議運動参加者の声にいつでも耳を傾ける用意がある」と述べた。一方で、「抗議でも参加者よりも遙かに多くの人々が、彼ら(抗議デモ参加者)とは異なる考え方をしている」とも述べた。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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