EU汚職対策機関がアルバニア向けEU支援金の不正使用を報告し、支援金の一時凍結を勧告
EUの汚職対策機関である欧州汚職対策局(OLAF)は、6月18日に発表した2023年版年次報告書の中で、EUがアルバニアに対して供与した支援金が不正に使用されていたと結論づけた。OLAFはアルバニアに対する支援金の一時凍結を勧告している。
OLAFの報告書は、EU加盟候補国に向けたEUの主要な支援制度である加盟前支援措置(IPA)のうち、地方・農村部の経済発展を目的とした支援(IPARD)のアルバニアでの支出に関して深刻な不正が確認されたと指摘している。IPARDはEU加盟候補国の農業部門をEU基準に沿った形で近代化するための支援制度であり、資金はEU予算から供与されるが、各国における対象案件の選定と実際の運用は各国の実施機関が行う形となっている。アルバニアでの実施機関には村落開発農業庁(ARDA)が指定されている。
OLAF報告書は、アルバニア向けIPARD第2期分について、①支援金の助成を受けようとする申請者が助成金の相当分を特定のコンサルティング企業へ支払うことを実質的に強いられていた、②助成対象案件の選定に際し適切な競争的手続きが取られていなかった、③助成額が不適切に高騰しており、また一部の助成対象者は助成金受給に係る義務を履行していなかった、と指摘し、これらの点からアルバニア向けIPARDのうち合計3,300万ユーロが不正に支出されたものと結論づけた。
この結論を受け、OLAFは欧州委員会に対し、アルバニア当局が適切な是正措置を講じるまでの間、アルバニア向けIPARD第3期分の1億1,200万ユーロを凍結するよう勧告している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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