
コソヴォ議会再選挙、与党「自己決定運動」が過半数に迫る圧勝
12月29日、コソヴォ中央選挙管理委員会(KQZ: Komisioni Qendror i Zgjedhjeve)は、前日の28日に実施された前倒し議会再選挙の暫定結果を発表した。それによると、クルティ(Albin Kurti)暫定首相率いる与党「自己決定運動」(Lëvizja Vetëvendosje:LVV)が得票率約47.71%を記録し、圧勝した。2025年2月の総選挙後、10ヶ月にわたる政治的空白と政府樹立の失敗を経て実施された今回の再選挙は、LVVが政権基盤を大幅に強化する結果となった。
KQZが発表した暫定結果に基づくと、LVVは全120議席中56議席を獲得する見通しである。単独過半数である61議席にはわずかに届かないものの、2025年2月の前回選挙時の42.3%(48議席)から得票率を約5ポイント伸ばしており、少数民族枠の議員との協力により、他党との大規模な連立交渉なしに速やかに新政府を樹立できる公算が極めて高い。クルティは首都プリシュティナ(Prishtina)での勝利宣言において、今回の結果を「コソボ国民と共和国の勝利」と称え、国家機関の迅速な正常化を強調した。
一方、野党第一党のコソヴォ民主党(Partia Demokratike e Kosovës:PDK)は、ハムザ(Bedri Hamza)を首相候補に掲げて戦ったものの、得票率は20%弱と前回の水準を維持するに留まった。アブディジク(Lumir Abdixhiku)氏が率いるコソヴォ民主連盟(Lidhja Demokratike e Kosovës:LDK)は約12.07%、ハラディナイ(Ramush Haradinaj)党首率いるコソヴォ将来同盟( Aleanca për Ardhmërinë e Kosovës:AAK)は約5.3%といずれも前回から得票を減らしており、野党側には厳しい結果を突きつけられた形でとなった。
少数民族枠の20議席については、セルビア政府の強力な支援を受ける「セルビア人リスト」(Srpska lista:SL)が、セルビア系住民居住地域で圧倒的な支持を集めた。セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、セルビア系に割り当てられた10議席を同党が独占したと勝利を主張しているが、一部の集計ではラシッチ(Nenad Rašić)率いる「自由・正義・生存のために」(ZSPO: Za Slobodu, Pravdu i Opstanak)が1議席を確保する可能性も指摘されている。
今回の選挙結果を受け、欧州連合(EU)のカラス(Kaja Kallas)外務・安全保障政策上級代表およびコス(Marta Kos)欧州委員(隣接・拡大担当)は共同声明を発表し、民主主義へのコソヴォ市民の強い関与を称賛した。同時に、新議会と新政府が速やかに発足し、ベオグラード・プリシュティナ間の関係正常化に向けた合意事項を遅滞なく履行することを求めた。
Following yesterday’s elections in Kosovo, we look forward to the swift formation of the new Assembly and Government.
— Marta Kos (@MartaKosEU) December 29, 2025
The new government should redouble its efforts on much needed EU-related reforms.
Full statement ⤵️https://t.co/WH1f6EBKQR
EUはコソボへの制裁措置の解除を進めており、既に2億1,600万ユーロの財政支援を再開したほか、来年初頭にはさらに2億500万ユーロの支援を行う予定である。今回の圧勝により、クルティはより強固な民意を背景に、欧州統合に向けた改革やセルビアとの対話に臨む責任を負うこととなる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






























































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