「コソボ・セルビア関係正常化案の履行に関する付属書」全文
3月18日深夜、EU対外行動庁(EEAS、EUの外務省に相当)は、「コソボ・セルビア間関係正常化の道程に関する合意の履行に関する付属書(Implementation Annex to the Agreement on the Path to Normalisation of Relations between Kosovo and Serbia)」と題するEU案の全文を公開した。同日行われた記者会見において、ボレル(Josep Borrel)EU外交・安全保障政策上級代表は、「セルビア、コソボの両首脳はこの付属書案について同意しており、付属書案は関係正常化合意本体とともに成立した」との認識を示している。
なお、関係正常化合意本体とは異なり、付属書の条文には番号は一切付されていない。
●この付属書は合意の不可分の一部を構成する
●コソボ及びセルビアは、本合意及び付属書の全ての条文を完全に尊重し、本合意及び付属書に由来して各々に課された全ての義務を理に適った(expediently)やり方で、かつ誠実に履行することを誓約する。
●本合意の締約者は、本合意及び付属書が各々のEU加盟プロセスの不可分の一部となることに留意する。両者は、本合意及び付属書の採択後、EUが、セルビアのEU加盟交渉におけるチャプター35のベンチマークについて、本合意及び付属書に由来するセルビアの新たな義務を反映したものへ修正する作業を開始することに留意する。同様に、コソボ・セルビア間の関係正常化に関する特別グループの議題は、本合意及び付属書に由来するコソボの新たな義務を反映したものへ修正される。
●締約者は、EUが仲介する対話プロセスを通じた交渉に従い、喫緊の課題として行方不明者に関する宣言を承認することに合意する。
●本合意第7条の履行のため、コソボは、EUの定めるところに従って過去の関連する合意を遵守しつつ(in compliance with relevant previous Dialogue agreements as determined by the EU Facilitator.)、コソボにおけるセルビア人の適切な水準の自己管理を確保するための特定の取極と保証措置(specific arrangements and guarantees to ensure an appropriate level of self-management for the Serbian community in Kosovo)を確立するため、EUが仲介する対話の枠内で、直ちに(immediately)交渉を開始する。
●締約者は、EUが議長を務める共同監視委員会(Joint Monitoring Committee)を今後30日以内に設置することに合意する。全ての条項の履行は共同監視委員会によって監督及び確保される。
●本合意第9条履行のため、EUは今後150日以内に、コソボ及びセルビアのための投資・財政支援パッケージを確保するためにドナー会合を開催する。本合意の全ての条項が完全に履行されたとEUが判断するまで、実際の支援は拠出(disburse)されない。
●コソボ及びセルビアは、全ての条文は相互に独立して履行されることに合意する。
●本付属書の条文の順番は、履行の順番を予断するものではない。
●コソボ及びセルビアは、いずれの条文の履行も妨害しないことに合意する。
●本合意の履行に関する如何なる議論も、EUが仲介する対話を通じて行われる。
●コソボ及びセルビアは、本合意及びその付属書、もしくは過去の対話を通じて成立した合意に由来する義務のいかなる不遵守も、各々のEU加盟プロセス及びEUからの支援に対し、直接に否定的な結果をもたらし得ることを認識する。
出典:EEASウェブサイト(https://www.eeas.europa.eu/eeas/belgrade-pristina-dialogue-implementation-annex-agreement-path-normalisation-relations-between_en)
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