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モンテネグロとイタリアが電力市場の統合に関する覚書に署名

10月23日、モンテネグロとイタリアは、ローマにおいて、両国の電力市場を連携(カップリング)させるための覚書(Memorandum of Understanding)に署名した。署名式にはモンテネグロからシャフマノヴィッチ(Admir Šahmanović)エネルギー・鉱業大臣、イタリアからピチェット・フラティン(Gilberto Pichetto Fratin)環境・エネルギー安全保障大臣が出席し、モンテネグロ側からはスパイッチ(Milojko Spajić)首相およびアジョヴィッチ(Majda Adžović)公共事業大臣も立ち会った。

モンテネグロ政府プレスリリースによれば、この覚書は、両国間のエネルギー協力を新たな段階に進め、エネルギー安全保障の強化と供給の安定化を図るものだとされている。シャフマノヴィッチ大臣は、「これは、数年間の停滞の後になされた大きな前進である。イタリアへの第二の海底電力ケーブル建設という次段階のプロジェクト開始を可能にするものだ」と述べ、この合意がモンテネグロのクリーンな再生可能エネルギーを化散る輸出製品に変え、モンテネグロ経済に新たな収益をもたらす道を開くと強調した。

モンテネグロ政府は、この覚書により、同国が地域と欧州を結ぶ信頼できるパートナーおよび「エネルギーの架け橋」としての地位を再確認したとしている。

モンテネグロとイタリアの電力市場は、既に2019年末から運用されている海底電力ケーブルによって接続されている。このケーブルは、イタリアの送電系統運用者であるテルナ(Terna)と、モンテネグロの送電系統運用者であるモンテネグロ送電システム(Crnogorski Elektroprenosni Sistem, CGES)によって管理されており、欧州とバルカン半島を結ぶ初の「電力の橋」とされている。

今回の覚書は、既存のケーブルと並行して第二のケーブルを敷設するプロジェクトの基盤となる。第二のケーブルが完成すれば、双方向の電力交換容量は現在の600メガワット(MW)から倍増し、最大1,200メガワット(MW)となる。報道によれば、モンテネグロ国内の送電網の改修などが完了した後、2027年にも第二ケーブル(推定事業費5億ユーロ)の敷設が開始される可能性がある。

現在、モンテネグロの電力市場では13カ国29社が事業を展開している。2023年4月に前日市場(day-ahead market)取引が開始されて以来、約900ギガワット時(GWh)が取引され、長期市場を含めた全体の取引量は約3テラワット時(TWh)に達している。モンテネグロ・エネルギー省は、イタリアとの市場統合により、取引量が3倍以上に増加し、新規投資に対する明確な価格シグナルが提供され、供給安定性が直接的に向上することが期待されると指摘している。

この市場連携は、モンテネグロが欧州連合(EU)の単一電力市場へ接続するための重要なステップであり、デジタル統合は2026年後半から2027年初頭、完全な統合は2036年から2037年までに達成される見込みとなっている。

(アイキャッチ画像出典:Vlada Crne Gore)

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