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アルバニア国内銀行は10月7日よりSEPAによる決済を開始へーEUとの経済統合が加速

7月22日、アルバニア中央銀行のセイコ(Gent Sejko)総裁は、アルバニア国内銀行が2025年10月7日より単一ユーロ決済圏(Single Euro Payment Area, SEPA)の基準に準拠したユーロ建て決済の取り扱いを開始すると明らかにした。これは、アルバニアの金融システムを欧州連合(EU)基準に整合させ、経済統合を加速させるための重要な一歩となる。

アルバニアは2024年11月にSEPAの地理的範囲に含まれ、その後、欧州決済評議会(European Payments Council, EPC)が国内で営業する全銀行のSEPAクレジットトランスファースキームへの参加を承認。2025年5月には国内の全11行が正式メンバーとして登録を完了しており、10月の本格稼働に向けた準備が整った。

EPCのウェブサイトに掲載されたインタビューにおいて、セイコ総裁は、SEPAへの参加による直接的な利益として、EU諸国との国境を越えた送金コストの大幅な削減を挙げている。アルバニア中銀の試算によれば、稼働初年度だけで少なくとも2,000万ユーロの送金手数料が削減される見込みだとされている。特に、年間約10億ユーロに上る海外からの送金のうち、その8割を占めるSEPA圏からの送金コストについては、現在は取引額の5~6%の送金コストが掛かっているところ、今後は少なくともその5分の1以下にまで下がると期待されている。

セイコ総裁は、この動きはアルバニアが過去10年間で進めてきた決済システム改革の集大成であり、EUの決済サービス指令(PSD2)の導入やデジタル化の推進により、同国の決済環境は大きく変貌したと述べた。セイコ総裁によれば、アルバニアでは成人1人当たりの年間電子決済数は6倍に増加し、決済口座を持つ成人の割合は2017年の40%から78%へと倍増するなど、金融包摂も著しく進展している。

SEPAへの参加は、送金コストの削減に留まらず、アルバニアの主要貿易相手であるEUとの貿易を促進し、資本移動を円滑化することで、経済成長全体に貢献すると見られている。また、EUからの訪問者や企業にとっても、自国と同様のコスト、時間、安全性で決済が可能となり、利便性が大幅に向上する。

セイコ総裁は今後の展望として、国内即時決済システムの確立と、将来的にはEUのTARGET即時決済サービス(TIPS)への参加を目指す考えを示しており、アルバニアはEUとのさらなる金融統合に向けて歩みを進めている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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