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アルバニアが新たにクラスター4についてEU加盟交渉を開始

9月16日、欧州連合(EU)はアルバニアとの間で6回目となる加盟交渉会議を開催し、加盟交渉分野におけるクラスター4「グリーン・アジェンダと持続可能な連結性(Green agenda and sustainable connectivity)」に関する交渉開始を決定した。

EU理事会プレスリリースによれば、今回の会議で交渉が始まったクラスター4は、運輸政策、エネルギー、欧州横断ネットワーク、環境・気候変動といった政策分野を対象としている。EU側からはEU議長国を務めるデンマークを代表してビエレ(Marie Bjerre)欧州問題担当大臣がEU代表団を率い、アルバニア側はラマ(Edi Rama)首相が出席した。

アルバニアのEU加盟交渉は、2020年にEUが導入した新方式に基づき、35の政策分野(章=Chapter)が6つのクラスターに分類されている。これまでに、2024年10月にクラスター1「ファンダメンタルズ」、同年12月にクラスター6「対外関係」、2025年4月にクラスター2「域内市場」、同年5月にクラスター3「競争力と包摂的成長」が開かれており、今回の決定により6つのクラスターうち5つについて交渉が開始されたことになる。

アルバニア政府プレスリリースによれば、会議後の共同記者会見においてビエレ大臣は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、EU拡大はEUにとって「地政学的な必要性」を有する最重要事項になったと強調した。ビエレ大臣はそのうえで、「アルバニアは司法改革や汚職対策で多大な努力を重ねてきた。真の改革が真の結果をもたらすことを示している」と述べ、同国の取り組みを高く評価した。

コス(Marta Kos)拡大担当欧州委員も、アルバニアのEU加盟交渉進展のペースは「印象的」であるとし、「改革は時に困難を伴うが、アルバニアはそれが可能であることを示している」と称賛した。

ラマ首相はEUの支援に謝意を表し、「我々は歴史上初めて、誰と結婚するかを自由に選べる。EUは価値と権利、安全と保障の帝国であり、我々はその一員になることを望んでいる」と加盟への強い決意を表明した。また、環境問題の重要性を指摘し、EUからの友好的な働きかけもあって環境問題に特化した省を新設したことを明らかにした。

今回交渉が開始されたクラスター4は、運輸、エネルギー、環境、気候変動といった分野を含み、これらの改革はアルバニアの経済成長と豊かな自然の保護との両立、インフラ近代化、エネルギー安全保障の強化に貢献すると期待されている。

コス委員は今後の課題として、交渉を完了させるためには司法改革、汚職対策、メディアの自由といった分野での進捗が不可欠であると指摘した。その上で、2027年末までに全ての交渉を完了させたいというアルバニアの野心的な目標をEUとして支持する姿勢を示した。ビエレ大臣も「アルバニアの味方なのはデンマークだけではない。EU全加盟国が前進を支持している」と述べ、EU全体としての強力な支持を改めて表明した。

EUは今後も交渉を通じて、EU法(acquis)の受け入れと実施に関するアルバニアの進捗を監視し続ける方針であるとしている。また、今回交渉が開始された章について、暫定的な交渉完了のための基準も設定されており、適切な時期にクラスター4の交渉が再度行われる予定とされている。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は昨年、アルバニアが必要な改革を継続すれば2025年末までに全てのクラスターについて加盟交渉を開始することが可能であるとの見通しを示していた。また、コス(Marta Kos)拡大担当欧州委員は、今年9月にスロヴェニアで行われた会議の席上で、アルバニアが最速で「2029年あるいは2030年にEUに加盟する可能性がある」と発言していた。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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